不明

 僕一時期心霊スポット巡りしてて、オバケ撮るまで帰れません的なことしてたんですよね。
 その日も友達2人、全くビビらないし心霊全く信じてないAと、ビビリなB と
有名な心霊スポット三軒回って、でも結局何もなくて、しらけた雰囲気になってたんですよ。
 で、心霊スポットとかではないんですけど、福岡県のとある林道を車で走ってた時にふと横を見ると、やたら「キケン」とか「立ち入り禁止」って書いてある看板がいっぱい立ててある脇道があったのを思い出して、気になったし行ってみる事になったわけです。

 入り口はロープで封鎖されてて、入り口から先は舗装されてない土の道だったので、車を降りて歩いて行くことになったんです。
 で、ある程度進むとカタカナの トの時に道が分かれてたんです。
 まっすぐ進むか右に曲がるかで三人で話し合ってた時、ふと左側の林の中に軽トラのドアが見えたんです。
 中を懐中電灯で照らすと、ライト1つじゃぼんやりしか見えなかったんですが、マネキンらしき人が軽トラに座っているような姿勢で乗せてあったので、幽霊全く信じてない普段絶対ビビらない友達をビビらせてやろうと思って、ビビらない友達Aに 「ちょっとあれ見て」 と話しかけて、2人でライトをあてて直視したんです。
 さっきは僕1人のライトの明かりだったんでぼやけてたんですが、2人で照らし合わせると、ソレがよく見えたんです。
 よく幽霊は青白いとか言われますけど、もうほんとに真っ青、青く目を見開いて、髪は肩ぐらい、多分女性であろう人が、軽トラのハンドルに体重をかける感じでもたれかかったような姿勢で座ってるんですね。
 僕も幽霊を信じてない派だったのですが、そのビビらないAと共に流石に5秒ほどフリーズ。
 確実にソレは生きた人間ではないと、霊感ゼロの僕でもわかるくらいでした。
 お互い顔を合わせて、騒いだらソレがどう動くかという恐怖を押し殺して、Bに「そろそろ戻ろっか」と言い、後ろを振り返らず、走りもせず、冷静に車の場所へ戻りました。
 戻る道の途中、Bは僕とAのあまりにも不自然な雰囲気と顔を見て、ほんとに危ない状況だと察したそうです。
 なんとか車まで戻ると、みんなザッと足を止めました。
 なぜか、車のドアが全部全開に空いてるんです。
 山道なんで、何かあったらいけないということで鍵は確実に閉めたんです。
 でもそれどころじゃなく、急いで車に乗り山を下り、BはAの家に泊まって、僕は自分の家に帰りました。

 なんとか家に着いたのですか、家に着いたその時着信が。
 非通知でもなく、「不明」と書かれた発信先からずっと電話が掛かってくるのです。何度も何度も。
 すぐAに電話を掛けると、なんとAにも同じ着信が。
 アレをみてないBには掛かってきてはおらず、ソレをみた2人だけにその着信が。
 何日かに渡って深夜4時過ぎに掛かってくるので、何度か出てみたんですけど、女の人の呻き声のようなものが聴こえてて、しばらくすると切れました。

 後日、先輩に例の場所に行ってもらって、ビデオ電話でその軽トラを映してもらったのですが、そこには確かに軽トラがありました。
 ですが中にはなにもなく、ボロボロで少し草が生えてるようにも見えました。
 まず、人なんて居ませんし何にもないんです。
 この一連の流れをオカルト的に見ると、あの青い女の人はもちろん幽霊で、何かしらのメッセージを電話で伝えようとしてきた。
 後日居なかったのは、3人の中の誰かに憑依? したかと。
 逆にオカルト要素なし、現実的に考えると、あの青い女の人は誰かしらに遺棄された死体であった。
 もし、発見した僕たちがあそこで騒いで走って逃げたら、犯人に捕まって殺されてたかも。
 車のドアが空いてたのも、車検証から僕の家の住所を特定するためかと。
 次の日その遺体がなかったのは犯人が移動させた為。
 と、どっちにしろめちゃくちゃ怖い事に遭遇した僕の経験です。

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