痴漢幽霊

 これは先日、わたしが体験した話です。

 その日、わたしは仕事が忙しい時期に入っていたこともあり、帰ってきて家事を済ませると早めにベッドに入りました。
 それから数時間後、真っ暗な部屋の中で目を覚ましました。
 わたしは壁の方を向いて寝るので時間がわからず、体を捻り時計を見ようとしたところで、身体が動かない事に気が付きました。
「これが金縛りなのね。まぁ、疲れていたし」とぼんやりと考え再び眠ろうとした時、壁とわたしの間に人の気配を感じました。
 しかし目には何も映らず何の音も聞こえませんが、確かに誰かがいる気配を感じました。
 金縛りになると、脳がそのような錯覚を起こすこともあると知っていたわたしは、気にせずに目を閉じようとしました。
 しかし目を閉じたわたしの二の腕に何かが触れる感触が……。
 腕に触れていたそれは、そのまま這うようにゆっくりと進み背中から腰さらにはお尻にまで進みます。
 え? と思っていたら、それはお尻で上下に動きはじめます。
「これってひょっとして痴漢?」と思いながらも身体は動かすことは出来ませんでした。
 エロマンガのように感じたりはしませんでしたが、わたしの心にはふつふつと怒りの感情が沸き起こり、動かすことの出来ない身体はそのままだけど腕を少しずつ少しずつ持ち上げると、目の前、壁とわたしの間、気配を感じるところ目掛けて振り下ろしました(イメージは間柴のチョッピングライト)。
 一発目、二発目、三発目とシーツに拳を振り下ろす毎に身体は動くようになり、目の前にあった気配も消えたので、わたしは再び眠ることにしました。

 その日の朝、目覚まし時計に起こされ、目を覚ましたわたしは驚愕しました。
 パジャマのズボンが、お尻の下まで降ろされていたのです。
「あのエロ幽霊が……」とわたしが思ったのは言うまでもありません。

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