地下倉庫
知り合いのTさんは、数年前から地元のスーパーマーケットに勤め始めたのだが、最近になって、この店に妙な噂が流れているのに気付いたという。 というのも、業務に慣れたからか他の仕事を多く任されるよ…
知り合いのTさんは、数年前から地元のスーパーマーケットに勤め始めたのだが、最近になって、この店に妙な噂が流れているのに気付いたという。 というのも、業務に慣れたからか他の仕事を多く任されるよ…
ある廃墟に、殺された女の幽霊が出る。そんな噂を良く耳にするようになったのは、今から二十年以上も前の晩秋の事だった。 ひょんな事から知り合ったT先輩という人から強引に誘われ、僕はその廃墟に行く…
ある年の初夏、蒸し暑い夜のことだった。 その当時フリーターでぷらぷらしていた俺は、同じく暇を持て余した悪友たちと共に、この上ない退屈に囚われていた。 何をするでもなく時間だけがただ過ぎて…
友人のYから聞いた話である。 N町の駅に、聞き馴染みのない心霊スポットがあると噂されていた。 山間部の谷間に沿って拓けた町を大きく縦断するように通るその駅の路線は、町民にとても重宝されていた…
扇風機の微かな風のみを頼りに暑さを凌ぐ夜。 テレビからは行方不明者の情報提供を促すニュースが流れ、アナウンサーが同じような文章を繰り返しているのが聞こえる。 行方不明者が云々という何度も聞い…
僕が住んでいた町は田舎で、今考えれば漫画やドラマの世界のような場所だった。 山間の谷間に沿って拓けた郡の中にある一つの村だったが、今では周辺の村と合併して町になり、僕が住んでいた村は廃村と…
小学五年生の夏休みが明けたその日の朝、体育館での始業式が生徒の悲鳴で中断された。原因は、なんの前触れも無く突如として壁に現れた、顔のようなシミだった。 寂れた田舎町にお似合いの古い木造の体育館…
私は視力が良い方ではない。 それでも、今そこに居るのが彼ではない事は分かる。 瞬きもせず、見開いた大きな目でこちらをただ見続けている。 事の始まりは、付き合っている彼の家に私が半ば転がり込むよ…
僕の生まれ育った生家は、とびきり田舎の更に山奥に建っていた。当時小学生だった僕は、通学に片道一時間以上かけて歩かねばならず、その度に何故うちはこんな辺鄙なところにあるんだ、と嘆いたものだった。…
交差点で信号無視の車に突っ込まれたことで、初めて入院したのは地元の病院だった。 僕が子供の頃は古く小さな田舎の病院だったが、市町村の合併に合わせて新しい病棟を建て、真新しく中央病院と名を変えた…
「お米一粒でも残したらバチが当たるよ」 僕がまだ小さかった頃、祖父母にずっと言われ続けてきた言葉だ。父方の実家は小さい兼業農家で、田植えの時や刈り入れ時など、忙しくなる時期は両親と共に手伝いを…
葬式というものは何歳になっても慣れるものではない。故人が近所の人や知り合いくらいの間柄ならまだしも、親族ともなると気が重い。親族間の仲が良ければなおさら、しかも子供ともなれば、会場の空気は沈…