浴室の給湯器

 ある夜、私がお風呂で体験した話です。

 私は髪や体を洗った後、次は顔を洗おうと何気なく湯気で曇った鏡を手で拭いました。
 そこで私はぞっとしました。
 何と鏡の中の私が、無表情でジッとこちらを見ているのです。
 私は今、鏡に右手をつけた状態で止まっていますが、しかし鏡の中の私は両腕を降ろして、真っ直ぐにこちらを見つめているのです。
 私は怖くなって一瞬だけ鏡から目をそらしました。
 そして次に鏡を見たら、何の変哲もない元の鏡に戻っていたのです。

 何となく怖くなった私はお風呂のドアを少しだけ開けました。
 これで少し閉鎖間が薄れて、ホッと一安心していた所に突然、給湯器から機械的な女性の声で 「ドアが開かれました、遺影撮影モードを開始します」 と聞こえてきたのです。
 その後に「5、4、3…」と何やらカウントを始めました。
 私は突然のことに混乱し、お風呂から出ればいいものを、何故か急いでお風呂場のドアを閉めてしまいました。
 ドアを閉めたことにより謎のカウントは止まって、風呂場はシンと静まり返りました。
 そしてその静寂を破るかのように、またしても給湯器から 「○○、さんが、来ます。○○、さんが、来ます」 と雑音混じりの壊れた機械のような声が響きました。
 私が不意に鏡に目を向けると、鏡に映る私の背後に黒いモヤのようなものがあることに気がつきました。
 私は今度こそ一目散にお風呂から飛び出しました。

 その後は特に何もおきてないのですが、やはり怖いので引っ越しを考えています。

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