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はるさん

姉が高校生の頃の話です。
学校から帰った姉は階段を上がり、二階にある自分の部屋に向かっていたそうです。 階段を登り切る所には、二階の廊下と階段を隔てる柵があります。
姉が踊り場に差し掛かる頃、その柵越しに人影が見えたそうです。

一瞬祖母かと思いましたが、姉はすぐに違うと解り、身をこわばらせました。

藤色の着物を着た女性。
祖母は普段着物は着ません。
生きている人ではないと気付いた姉の方を、
その女性はゆっくりと振り返りました。

「目が合ってしまう!」
と思った姉は、咄嗟に目をつぶりました。

暫くしても何も起こらないので恐る恐る目を開けると、
女性は消えていました。

その夜、姉は同じく霊感のある祖母にその話をしたそうです。
話を聞き終わった祖母は、引き出しから一枚の写真を出して来ました。

「その女の人って、もしかしてこの人?」
姉は驚いて、
「そう!この人!この人誰なの?」
「この人は はるさんと言ってね。親戚の人だよ。事情があって、今日うちの墓に移って来たんだ」

そこまで聞いた私は、
「ああ!お墓に名前のある はるさんてその人なんだ!」
と納得しました。

実家のお墓には墓石とは別に墓誌があり、
眠っている御先祖様の名前が彫ってあります。

私がこの話を聞く前に祖母は他界しており、新しく彫った祖母の名前は、他の御先祖様に比べて彫り跡が新しく綺麗です。

そして、祖母の名前と変わらないくらいに綺麗な彫り跡があり、ずっと気になっていました。その名前が はる でした。

「そう、その人。『これからよろしくって、挨拶に来たのかもしれないね』っておばあちゃんが言ってた」

ここまでは心温まる良い話なのですが、ちょっとだけ疑問があります。

墓誌の名前は没年順に彫ってあるのですが、はるさんの名前とその20年以上後に亡くなった祖母の名前の間には、祖父を含めた何人かの名前があります。

後から彫られたはずなのに、はるさんの名前のスペースは、もともと空いていたわけです。

子どもの頃に気になって、
「なんでこの人の彫り跡だけ綺麗なの?」
と両親に尋ねた記憶もあるのですが、答えてもらえなかったかはぐらかされたのか、ちゃんとした解答をもらった記憶がありません。

亡くなった時に既にいずれはこちらに来ることが決まっていたのかもしれませんが、名前のスペースまで空けておきながら、移ってくるまでに少なくとも10年以上掛かった理由が解りません。

なんとなく姉にも両親にも聞いていないのですが…。
ちなみに、祖母は姉以上に霊感が強かったそうです。
母は全く見えませんがスプーン曲げができ、私も霊はあまり見ないのですが、ちょっと特殊なことが出来るので、それを仕事にしています。

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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