自分
これは、友人のK子さんから聞いた話で、コロナ禍以前の話である。 K子さんの家の近所に住む奥さんが、遠く離れた沿岸の海で、遺体で発見された。自殺だったとのこと。 私達が住んでいる所は、内陸…
これは、友人のK子さんから聞いた話で、コロナ禍以前の話である。 K子さんの家の近所に住む奥さんが、遠く離れた沿岸の海で、遺体で発見された。自殺だったとのこと。 私達が住んでいる所は、内陸…
2024年の梅雨入りは、例年よりもだいぶ遅れてやってきた。 六月の終わり。もうじき夏を迎えるというのに、まるで夏と私の間に帳を下ろすかのように、雨はせわしなく降り注いでいる。 梅雨の湿気と…
私は長いこと不眠症で悩んでいます。 それで睡眠薬をずっと飲んでいます。 ずっと薬を飲んでいるので耐性が出来てしまったのか、前に夜中にトイレに行きたく目覚めたことがありました。 トイレを出…
1年前のある夜、古びた神社に足を踏み入れた青年がいた。 彼は大学生で、学校が夏休みに入ったため、両親とともに父方の実家に帰省していたのだ。 神社はその村のはずれ、鬱蒼とした森の奥にあり、長い…
年配の親族の集まりなど、若輩者には得てして退屈なものである。 よく冷えた麦茶の入ったグラスを伝う澄んだ雫だとか、微かな音を立ててくるりくるりと健気に働く扇風機だとか、そんなところばかりに視線…
僕の小学校は都内の、中心地を少し外れた郊外にあった。 学校にはお世辞にも大きいとは言えない校庭しか付いておらず、放課後、僕たちはよく学校のそばにある公園で遊んでいた。 小さな丘に位置してい…
小学生の息子を持つ主婦のRさんから聞いた話である。 学校から帰ってきた息子さんが、変な人に行きあったと話をしてきた。 曰く、知らない人が突然話しかけてきて、「◯◯さんの家はどこです…
夏の長期休暇もそろそろ終わりという頃、Kさんの元に一件の電話が入った。学生時代の後輩であり、今でも交友があるYさんという人からだった。「ちょっと怖いことがあったんで聞いてくださいよ」 久しぶ…
友人のMさんから連絡がきて、仕事の帰りに待ち合わせた。 彼女は、仕事での出張が多く、北海道、東北、関東の間を常に行ったり来たりしていた。 そして時々、有名店のお菓子などをお土産として買ってき…
僕が小学校の頃に住んでいたマンションには、裏手に川があった。 それは幅が10メートルもない小さい川で、僕たちはよく、意味もなく川に石を投げこんだり、川原の草をむしって川に流したりして遊んで…
私は昔、廃墟探索に興味を示しある日に友達と一緒に行こうと言った記憶があります。 誰もが行ったことのある心霊スポットを4個ほど、数か月をかけて、空いた日に行っていました。 最後に行ったのが…
ある真夏の夕方頃の話です。 なんの落ちも何もない話です。 真夏なのもあり、蝉の声のうるささが気にならないくらい仕事での疲れが酷かった私は、自室で寝ていました。 しかし、ふと人の気配を感じ…