私が通っていた高校は山の中に建っており、なかなか不便でした。
階段の天井にコウモリが住み着き、気を付けないと糞を踏んでしまったり、
使おうとしたトイレの便器に大きなムカデが沈んでいたり…。
柵を越えてしまったテニスボールや野球ボールは森の深くに吸い込まれていくので回収は不可能。
勾配のキツイ坂道を500メートル近く登ってやっと校門…。
そんな学校で吹奏楽部として活動していたのですが、
10年以上経った今になって思い返すと1つだけ意味不明な怖い思い出があります。
それは部活で毎日使っていたメトロノームについて。電子では無くあの三角の形の。
第一音楽室の中には小さな個室がいくつかあり、そこに入って個人練習をする事がたまにありました。
個室には1つずつ木製のオルガンが設置してあり、その上にメトロノームを置いてカチカチさせての練習。
私は左端の窓のある個室がお気に入りでした。
基本は楽譜を見るのでメトロノームは音を聞くだけなのですが、
使っていると「ズッ」と音を立ててあの三角の本体が動いた気がしました。
オルガンの上に置いてたから水平のはずだし…と思いつつも練習を続けていると、やっぱり少し動いた気がする。
そんな事を毎日ではないにしても何度か経験し、
ある日、今日は動く瞬間を見てやる!と思い立ち、注意深くメトロノームを見ながら練習をしました。
そしてとうとうその瞬間を目撃。
なんの前触れもなく5㎝ほど横に「ズッ」とずれる。
動いた後もカチカチは規則正しく鳴り続ける。
動く瞬間を見た時はちょっとトリハダが立った記憶がありますが、他に変わったことは何もありません。
間隔は数十分に1回動くという感じでした。
同じ物ではなく別のメトロノームでやっても同様に動いたので、故障等ではないと思います。
但し別の個室や教室ではその現象は体験しませんでした。
当時は、振り子の振動が伝わって動いたりするのかな?位に思い誰にも話すこと無く卒業してしまいましたが、
思い出した今、気になって仕方ないので近いうちに当時の仲間に聞いてみようかとも思っています。
あれは一体何だったんでしょうか。