呼ばれる

高校3年の夏、私は友人4人と計5人で自転車で片道2〜3時間かかる隣町に山菜採りに向かいました。

行く途中にゴミ処理場があるのですが、その付近に何やら少し大きめの物置小屋みたいなものがあり

「こんな人里離れたところにこんなの建ってて誰が使ってんだろう。」と思っていました。

無事目的の山に着き、2時間ほど山の中で山菜を探しましたが
季節の終わり頃で山菜は思ったよりも見つからず
休憩したのち、私達は肩を落としながら帰路に着くことにしました。

帰り道、行きに見かけた大きめの物置小屋が目に入りました。
初めに見かけた時から何か頭にモヤモヤした気持ちがあったのですが
それが何なのかは分かりませんでした。

そして、無性に破壊衝動のようなそんな感じの気持ちが湧き上がってきて
「まだ帰るの早いし、あの小屋探索しね?」と友人達に相談しました。
友人達も結構乗り気で即探索となりました。

外観は木の板で出来た壁でトタン屋根
建物の左側には丸太の溜まった屋根だけの小屋

建物の木の扉には板が何枚か釘で打ちつけており、道具もなかったので私は板を力強くで引っぺがしました。
年月が経っているのか風化が進んでおり、木がもろく結構簡単に板を剥がすことができました。
この時私は中々、中を確認出来ないことにとてもイライラしていたと思います。

ようやく板が全て取れて、やっと扉が開くと思い
ドアノブとかではなく取手?だけの出っ張りを引っ張りました。

開きません。
何かが中で引っかかっていて開きません。

友人が「これ以上壊して大丈夫なのか?ハシゴ見つけたからドア上の隙間から中見てみようぜ。」と言ってきました。
が、私は早く中に入りたい。
それしか頭にはなかったので、
「うるせえな、どうせ誰も来ねぇ所だしドアなんていらねぇよ!」と
扉に体当たり、蹴り、剥がした板を隙間に刺しテコの原理で外側にグイッと、など色々やりました。
すると、
ガキンッ!ゴトンゴロゴロ…
と何かが壊れた音と何か落ちた音が。

扉が建物の傾きのせいか勝手に開きだしました。
私は歓喜しました。
ドキドキしながら中に入りました。
入り口に置いてあった灯油缶のようなものを蹴ってしまい、灯油をぶちまけて周囲は灯油臭。

この時体感では10分ほどだったのですが、物置探索から2時間ほど経っており
もう太陽が沈みかけだったのでだいぶ暗くなっていました。

物置の中は暗く、良く見えなかったのですが
キーホルダーについていたペンライトを付けると
なんだか気持ちがすっきりした、というかなっとくした、スッキリした感じがしました。

中には横になって70パーセントほどが白骨化している方がいらっしゃいました。

この後、逃げるか警察を呼ぶかで揉めて
結局警察を呼び、家に帰れたのは22時くらいでした。

友人は物置に着いてから私の様子がおかしく、止めても聞き耳を持たず
どうしようもないので私の気がすむのを待っていてくれたそうです。

警察の方には

「無縁仏って聞いたことあるよね?そういう仏さんを見つける人は大概こんな感じなんだ。君は呼ばれたんだよ。」と
あと…と続けました。
「一応見つけてくれたから表彰とかあるんだけど、不法侵入なんだよね。だから、表彰なしでお咎(とが)めなしにしていいかな?」と
卒業を控えてた私達。
もちろん答えはYesでした。

死体を見つけてゾッとし、不法侵入といわれゾッとした話でした。

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