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呪いの宝刀

あなたの家には刀はありますか?
それは何を斬りましたか?

我が家には、祭りの甲冑行列に持参する 模造刀と、戦の場で使った真剣が伝わる。
数本ある真剣の中でも状態の良い物を 父は磨ぎに出していた。
模造刀は、柄巻きが軟らかく 鏡の様な美しさをしている。

真剣は打って変わる。
戦場で握り絞めていたであろう柄巻きの 目の詰まった重たく冷たい感触。
刃紋は滑って薄曇り、正体の見えない 怖さがある。

何かが居るのだ。

これは氏神様の知らせで、家の刀の消霊消滅を行う際に 説得を兼ねて教えられた ある戦国武将の家に伝わる刀の話。
その刀は、大河ドラマにも名前が出て来る 戦国武将の家に受け継がれる物だった。
その子孫の総本家には様々な刀があり、 厳重に保管されていた。

そこに熱心なコレクターが通い詰め とうとう 刀を一振り譲り受ける事になった。
鑑定結果、一振り 八百万円。

勿論、代々受け継がれ戦場や間者の沙汰に 用いられた真剣。血を吸っている。
模造刀で満足出来なくなって 求めたのだろうが・・・・・・
鮮血を吸った真剣の中には《何かが居る》 《何か》は意思があり、相応に動く。
戦いに執着する者 主人を守ろうとする者 家を絶やそうと復讐を続ける者 長い間受け継がれ、宿る場所を替えずに済む 刀は、またとない依り代となる。

名刀と呼ばれる類は美術品。
螺鈿の様な 波紋に魅入られた者は、その輝きに呑まれてしまう。
その中に何がいるのか。

逢うまでわからない 刀を譲ってから数月後、総本家に連絡が 入った。

「父が亡くなった為。刀をお返し致したい」

新しい刀の持ち主となったコレクターは 気が短くなり、ちょっとした事で怒鳴り、 攻撃的な性格になり、情緒不安定な状態に 陥ってしまった。
家族が心配していた矢先に 朝、部屋で亡くなっていたそうだ。
心筋梗塞。
家族が不思議だったのは、あれほど 大切にしていた刀を、無造作に クローゼットへ投げ入れていた事。
心臓を一突きされたかの様に、胸を押さえ 苦悶の表情で亡くなったコレクターが 最後に見た者はなんだったのか・・・・

八百万円で手放された刀は、帰って来た。
元の持ち主であった総本家では、 男子は四十歳までしか生きられないという。
命を吸われる様に皆、早死にする。

この時、私の兄は三十九歳。
最近やけに気が短く、ちょっとした事で 怒鳴り、感情を抑えられず情緒不安定な 状態に陥っていた。
一連の話から、命に関わると察し 青ざめた私達に、武将の家の直系の 末孫である御住職様が静かに言った。
「どうなさいますか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
我家の刀は全て消霊消滅しました。
刀の中には4体の霊が入っていました。
準備を整えねば、御住職様の命も 危なくなる最悪の代物でした。
知らせて下さった氏神の稲荷様は

『宝とは命。命に勝る宝は無い。    見まごうな』 と言われました。

朗読: 朗読やちか
朗読: 繭狐の怖い話部屋

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