母さん

僕が12歳の時、父さんが失踪した。
母さんは、僕を育てる為に昼も夜も働いたけど、とても綺麗で優しかった。

お前は、私の宝物といつも言ってくれた。
僕が14歳の時、新しい父さんが出来た。
僕は、新しい父さんも結構好きで、良く一緒に遊びに行った。
でも、その父さんも2年後に失踪した。

母さんも僕もすごく悲しんだ。
僕が17歳の時、再び新しい父さんが出来た。
母さんも笑顔になって、僕は、すごくうれしかった。

なのに…… たった1年で、その父さんも行方不明になった。
母さんは、疲れ切ってお酒をひどく呑むようになった。

時々は、僕を酔って叩く事もあったけど、僕は、母さんが大好きだった。
でも、歳を取って行き、酔って愚痴を言う母さんから、
美しさがどんどん消えていくのが、僕は、とても悲しかった。

そんなある日、母さんさえも失踪した。
僕は、たった1人になった……
僕は、裏山で母さんの埋葬式をやった。

穴の中で眠る母さんは、とても綺麗だった。
埋葬式には、父さん達も参列してくれた。
母さんを埋めた後、父さん達もそれぞれの埋まっている場所に帰って行った。
僕は、父さん達を見送ると、綺麗な母さんと手を繋いで家に向かった。
母さんは、僕を見て微笑んでくれた。
とても綺麗で優しい笑顔だった。
もう永遠に母さんと一緒に過ごせると思うと、嬉しくて涙が出た。

朗読: 怪談朗読と午前二時
朗読: 小麦。の朗読ちゃんねる

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