真っ暗な夜

誕生日の帰り道、彼ににもらったプレゼントのシャンパンを小脇に抱え、私は、1人家路を歩く…
パーティーでかなり飲んだ私は、ほろ酔い気分を楽しみながら、この付近で誘拐事件発生と警察の警告文の書かれた、立看板の立っている、真っ暗な道に差し掛かった。

カツカツカツとテンポ良く歩く私のヒールの音以外に、コツコツ…コツと明らかに違う靴音がすぐ後ろから聞こえ、人の気配を感じた。

振り向くと誰も居ない。
私は、恐ろしくなり早足で歩きだした。

カツカツカツカツ…コツコツコツ…コツコツコツ…

足音が増えている!
私は、シャンパンの瓶を握り、振り向くと、今度は、暗がりに明らかに数人の人影が隠れるのが見えた。
一瞬で血の気が引いた……

『何で私が?』と涙ぐみ、走り出そうとしたその時、後ろから腕をグイッと引かれ、あまりの恐怖に『キャー!』と悲鳴をあげ、握り締めていたシャンパンボトルで、腕を掴んだヤツの頭の辺りを、振り向きざまに、力いっぱい、殴りつけた!

グチャ!バタンッ!

ボトルはクリーンヒットし、腕を掴んだヤツは地面に、頭から倒れ、ピクンピクンと痙攣をはじめた…

その瞬間、道の両脇から、パンッ!パン!パーン!と破裂音が鳴り響き、ピエロの格好をした数人が飛び出し、車のライトが、私を照らし、プロポーズおめでとう!と書かれた横断幕が目に飛び込んできた。

そして、頭が潰れ、痙攣する彼と、放心状態の私に気づかぬ、ピエロに扮した友人達のフラッシュモブが始まった……………………

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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