母のはなし

 私の母には霊感があります。
 私自身には霊感などないと思って生きているのですが、そんな私でも、母と暮らしている頃はやたらと心霊現象に遭いました。
 今回は、中でも怖かったお話をさせていただきます。

 小学校高学年くらいの頃、母の会社の忘年会に参加しました。 (母子家庭なので、子守をする人がおらず、わたしも冬休み中だったので一緒に参加しました)
 忘年会が終わったのが午前1時頃で、車を停めてある公民館まで移動して車に乗り込もうとしたとき…
「あれ?なにあれ」
 目の前にある公民館。 黒い人影が公民館の室内集会所?をグルグルと走り回っていました。
 わたしの声に母も気付き、2人でしばらく呆然と見つめていました。
 すると、母が何やら独り言? を言っているのが聞こえ、我に帰り怖くなったので「早く帰ろう!」と車に乗り込みました。
 母も急いで乗り込み、その場を離れました。

 帰り道「あれなんだったんだろうね…」と話をし、帰宅。
 その後しばらく怖くて話題にも出さなかったのですが、これもまた大人になってから思い出話をしていると、「あの公民館で走ってた女の人」という母の言葉に大変な違和感を感じ、詳しく聞くと、「髪型がソバージュで花柄のノースリーブワンピースを着ている女の人だった。年末で雪の降る夜にノースリーブだったのが印象的で、鮮明に覚えてる」ということでした。
 でも一緒に見ていたわたしは、どう思い出してもただの「黒い人影」だったんです。
 髪型や服装、顔、性別すらも全く判別がつきませんでした。
 さらに、母はその時「小さい男の子を連れたお腹の大きい妊婦さんが「あれなんですかね? 怖いですね」と話しかけてきて、少し会話をした」と言っていました。
 わたしが母の独り言だと思っていたのは、その妊婦さんとの会話だったらしいのです。 もちろん、わたしにはそんな人は全く見えていませんでした……。

 母は常に見えるというわけではないので、母自身がめちゃくちゃ怖がりです(笑)
よくわかんないけど、(見える霊とは)波長が合うのかな?と言っていました。
 そろそろ60になりますが、最近では見なくなったとのことです。 加齢によって霊感も消えていくのでしょうか。

朗読: 小麦。の朗読ちゃんねる

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