これは、母に聞いた話です。
第二次世界大戦前の香川県のT市。
そこで祖母は、
香川県には、農業用の溜め池が多くあり、
まだ祖母が、結婚する前の昭和初期、
その家族は、傍目には、とても仲が良く、
ある日、その家族の母親が失踪しました。
多くの近所の方や警察などが、彼女を探し回りました。
しかし、彼女の行方は、一向に分からず、
捜索が始まって三日後、目撃者が見つかりました。
彼が言うには、その母親は、
その溜め池の捜索が始まりました。
そして、
一見、幸せそうだった家族でしたが、父親が言うには、
事件性はなく、自死でした。
遺体が溜め池から上がった時、身元を確認する為に、
娘は、母親の遺体を見た時、泣きもせず、こう叫んだそうです。
「これ、お母さんじゃない!」
夫も顔では確認出来ない状態だったそうです。
遺体は、溜め池に住む無数の鯉に喰われ、
娘は、その後も母親を探し続けていたのだそうです。