感触

これは学生時代に友人から聞いた話です。

その友人は20代の女性で元々霊感がとても鋭い女性でした。
初めて行く場所でも空間に違和感がある場合、
嫌悪感や頭痛等で直ぐに“何か”を感じたり視認できる体質で、
金縛りの現象はあまりにも日常的であり感覚が麻痺し何の恐怖も感じないとの事でした。

そんな彼女がある日の夜、
自宅で寝ている時に起こった本当に恐ろしかったという体験談です

彼女は姉妹で、寝室にあるベットは二段ベットになっており上に妹さん、
下に本人がという構造です。
またその二段ベットには足元に白いカーテンが備わっており
ベットの向こう側が見えないような作りになっています。

眠りについた頃、いつもの様に金縛りになり
『またか』程度の感覚で平然としていました。

何気なく足元をみると、白いカーテンから足が出ているのが見えました。
眺めているうちに、その足が1本、2本、3本・・・・と徐々に
バラバラの向きにどんどん増え、最終的には10数本の足がカーテンを覆いました。

しかし、この状態になっても尚、彼女は冷静でただの幻や幻影だろうと、
特に恐怖を感じていなかったそうです。

いつもなら無視して寝に入る彼女ですがこの時、ある衝動に駆られます・・・・
『触れるのかな?』
金縛りに入っているにも関わらず必死に上半身だけを起こし、
前屈姿勢をとるように両腕を伸ばし、 出ている足の一本を掴もうとしました。

彼女の中では
『幻だから両手がすり抜けて、直ぐに消えるだろう』
と考えていたそうです。

現実は異なり、両の手はその足をしっかり掴んでしまいました。
その瞬間、慌てて手を放し布団に包まってお経を唱え続けたそうです。
しばらくすると、その足の群れは消えいつもの寝室に戻っていました。
彼女が最後に一言
『あれ、完全に足の感触だったなぁ』
と呟いていました。

朗読: りっきぃの夜話
朗読: 朗読やちか

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