これは20年前の話。
私は埼玉県のとある市に住んでいました。
大学卒業後に音楽を仕事として選んだ私は、
それは、深夜営業の古本屋だった。
昼間は中古のCDと、
夜は文庫本とアダルト関連がメイン商品だ。
基本的に一人で、レジから品出し、買取までをする。
まあ、
さて、そんなアルバイトのとある日。
深夜1:00を過ぎて、2:
前を振り向いたら彼女はそこに立っていた
何かお探しで…と言いかけたその瞬間、
「あのね、電波が届いたの今。それでね私色々知ったの」
この辺りから話し声は大きく、そして早くなった。
「だからね、私は行かなきゃいけないの。電波がね届いたの!
叫び声だ。
もう最後の方は何を言ってるのか判らない。
実際には5秒だか、10秒だか、鋭利な刃物のような沈黙。
私には随分長い時間に感じた。
そしてこれまでの話し声の2オクターブくらい高い声で
「キャハハハハハー!!キャハハハハハー!」
そしてまた一拍の呼吸。
彼女の目は澄んでいたが、焦点か合っていない。
あ、これ刺される…
私は、
その目を感じたその瞬間。
店の中の平積みの陳列本コーナーを両手でメチャクチャにした後、
店長と電話で話した。
彼女は裸足でしかも手ぶらでの軽装だった。
私は店のすぐ裏に住んでいたが、彼女の噂は聞いたことがない。
彼女は、実在の人物なのだろうか?
今となっては、知る由も無い。