ホタルになったピーコ

これは、怖い話ではなく心が温まる話です。

私が結婚していた頃です。
その家には他所から貰われてきたピーコと言う名前の犬が居ました
番犬してますよ!と言うアピールが凄くて人が来たら必ず吠えていました。
それが毎日来る郵便屋さんにでもです。

そして、エサをやるのは私でした。
外の昔造られた防空壕を犬小屋として飼われて居たので、
玄関から靴を履いて毎日エサをあげに行ってました。

もうかなりの高齢で、6月の雨が降る日に老衰で亡くなりました。
私達は夫婦で亡骸を庭に埋めて、好きだったパンを供えて手を合わせました。
子供たちもとても悲しんでいましたが、確か翌日の夜だったと思います… 。

私達が夕飯を食べていると玄関から一言ワンッ!とピーコの声がしたのです。
今、ピーコの声がしなかった?と私が言って玄関に出てみると、
玄関の左側にある窓に1匹のホタルが居ました。
旦那さんや子供たちも「コレはピーコなんじゃないか?」「ピーコだ!」
と言いながら外に出てきて、それぞれ思い思いにそのホタルに話しかけました。

特に私が近づくと、いつもエサを持って行った時に喜んでいた頃の様に、
ホタルがぴょんぴょんと跳ねるのです。
もう家族皆んなで号泣してそのホタルを見つめていました。
そしたら、お別れが済んだかのように、スーッと上に上がって行きました。
「あっ、ピーコ逝くんだね…」
と声をかけると本当にスーッと登って行って見えなくなりました。

後にも先にも家にホタルが現れたのはあの時だけだったので、
私達は今でも、アレはピーコだったんだね!とそれぞれの心に記憶しています。

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