黒い塔

これは、私が見る不思議な夢の話。
私が小学校4年生の頃から不思議な夢を見ているが、これはとくに恐ろしく不思議な夢である。

初めてこの夢をみたのは小学校5年生。
私は黒い塔の中に閉じ込められていた。

壁は石で床は木で出来ていた。
明かりはロウソクのみ。
扉も木で出来ていて、開けようとしたが、扉は閉ざされている。
唯一、外へ出れそうなのは窓だったが、 窓から地上までは3~4メートルありそうだった。

私はどうやって外に出ようかと考えていると、黒い魔女みたいな女が自分のいる塔に入ろうとしているのが見えた。

(まずい、逃げなきゃ)
となぜかその女から逃げねばならないと思った。
そして、女が入ってきた瞬間目が覚めた。

2年後 私は中学1年になった。
また、黒い塔の夢を見た。
また同じ部屋。
唯一違うのは知らない女がいること。
あの黒い女ではなかった。
その女は老婆でぐったりとしていた。
声をかけようとした時、カツーンカツーンと登ってくる音がした。

(あの黒い女だ) となぜだか分からない確信があった。
足音は近づいてくる。
(来ないで、目を覚まして)
私はひたすら念じた。
そして、足音がドアの前にきた瞬間目が覚めた。

1年後 私は中学2年になった。
また、同じ部屋。
今度は誰も居ない。
扉に耳をあて足音が聞こえないことを確認した。
その時、扉が開くことに気がついた。

私は扉をそっと開けた。
扉の外は螺旋状の階段になっており松明がされて合った。
私は部屋を抜け出し階段を下った。

(逃げなきゃ、逃げなきゃ)

もう少しで外という所で女が入ってくるのが見えた。
光に照らされてできた女の影を見ると、刃物のようなものが映っているのが見えた。

私は上へと戻った。
女も私が階段を降りていたことに気づいたようで、 コツコツコツコツコツコツとものすごい勢いで追いかけてくる。
私は部屋に戻り扉を閉めた。

(ヤバイヤバイヤバイヤバイ、殺される)

女の足音が部屋の前に止まった。
しばらく音がならなかった。
息を殺し扉を見ていると、 ガンガンガンと女が扉を叩いている音が響く

「!」

私はそこで目が覚めた。
2年後 私は高校1年になった。
また同じ部屋、今度は男が2人。
「くそっ!扉が開かない」 と茶髪の男性。これをA。
「あの女狂ってやがる」 と黒髪の男性。これをB。
「あのー、」 と声をかけると、AとBは振り向き私にここが何処だか分かるかとか、あの女に何をされたとか聞かれたが生憎、私はなんの理由もないし、勝手に夢を見ているだけだから何もされていない。
AとBはガッカリした顔をしたが、直ぐに脱出しなければならないと言い、 どこから持ってきたのかナイフを取り出し私に渡そうとする。
私は持てないと言い、Bにそのナイフを返した。

Aは窓から身を乗り出し「この高さなら死ぬことは無いな」といい、私を見た。
「もし、あの女が部屋に入ってきたら、お前はこの窓なら落ちて振り向かずに村まで走れ」 と言った。

2人を見捨てて逃げることは出来ないと言うと、
Bは 「このことを村の人に知らせる人は居ないといけない。あんたは武器を持っていないから逃げるしかない」 と言われた。

その時、カツーンカツーンと女が登ってくる音がした。
私たちの間に緊張が走る。
女は扉の前に立ち、ドンドンドンドンドンとまた扉を叩く。
Aは扉の近くに立ち、Bが私を守るように前に出た。
女の叩く音はだんだんと大きくなり、ついに扉がバキッと音を立てて開いた。
その時私は初めて女を見た。

黒い。
肌も顔も服も全部が黒い。
そして手に持っているナイフは血で錆びていた。

「逃げろ!」
とBが叫ぶのと同時に 女がニヤッと笑いながらAを刺した。
Bは私を外に突きだした。
私はそのまま、落ちた。
地面にぶつかって死ぬんだなと目を閉じる。

私は地面にぶつかる瞬間に目が覚めた。
あれ以来私はこの夢を見ていない。
と言うより、見たくない。
だって次に殺されるのは私だと思うから。

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