不思議な夜〜2日後

軽い熱中症で寝込んだ日、なんだか不思議な夜を経験した翌々日の話です。

体調も良くなり、その日は会社に出社しました。
熱中症くらいで! と怒られたらどうしようか、という私の心配とは裏腹に、会社に行くと、先輩から心配されたり、事務のおばさんから熱中症対策の塩飴をもらったりと手厚く歓迎されたことと、テレビでさんざんやっているからか会社のみんなの熱中症に対する捉え方が、軽率なものでなくて嬉しかった。

若い頃はこうじゃなかったな、口を開けば根性や自己管理なんて言われて、体調を崩して休みをもらって、さらに精神攻撃をうけてって時代だったからな。
そんなことを思いながら帰路につきました。

特段変わったこともなく帰宅。
一人暮らしの辛いところですが、そこから着換えをし近くのスーパーへ夕飯の買い出しに行きました。
歩いて1分ほどの所にあるスーパーは、国道を横断してすぐの所にあります。
国道沿いということもあり、信号待ちをしていると、車内からジロジロ見られているような被害妄想に苛まれるため私はうつむいて周りを見ずに信号がかわるのを待ちました。

信号がかわり、歩き始めると私の少し前を杖をついたおじいさんが歩いていました。 ヨロヨロ、ヨロヨロと、なんとも頼りなく歩くおじいさん。
ついには、グラッとぐらついてしまいよろけて転んでしまうところで私は「おぉ」っと驚きながら体を支えるため手を出しました。
手を伸ばし、おじいさんの肩を掴んだ…はずでした。
伸ばした手は空を切り、目の前には誰もいませんでした。
首をかしげ、信号を渡りきったところで振り返りますがやはり誰もいません。
買い物をしながらも、さっきのあの光景はなんだったのか分析しましたが、気のせいだとしか思えません。

買い物を済ませ、信号を渡る最中も歩道を見渡したのですが私以外は自転車に乗った部活帰りと思われる学生が2人いるだけでした。
そして、アパートにたどり着いたところで私はギョッとする光景を目の当たりにしました。
さっき歩道を歩いていたおじいさんが、駐車場の低い塀に腰掛けて座っていたのです。

私は一瞬で悟りました。

一昨日見た、ここに腰掛けていたおじいさんと同一人物だと。
一昨日と同じくおじいさんは軽く会釈をしてくれたので、私も会釈をしかえし、2階にある自室のドアまで行き、駐車場を覗き込みました。

案の定。
というべきか、やはりそこにおじいさんの姿はありませんでした。
熱中症を基に、私は気が触れてしまったのでしょうか?
それとも、一時的に弱りきった精神が霊界との波長を合わせてしまったのでしょうか?

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