龍を見たおはなし1

皆さんは「龍」や「神様」と聞いてどのような印象をお持ちだろうか?
おそらく人それぞれ様々なイメージがあると思う。
僕には2012年9月2日〜13日までの約10日のあいだ、 2体の龍と近く、深い繋がりを持った経験がある。

オカルトや神社仏閣に対してもさして興味がなかった僕は、自身に起こった出来事の意味が全く理解できずネットや本屋で調べまくったのだが、どれもボヤ〜っとしたものばかりであった。
「強烈」な実体験談がない。 龍にはものすごいパワーがある。
あれを見た人は、あの「気」に圧倒され、 その強烈なインパクトは生涯決して忘れることができないだろう。
僕は他者の実体験談やその出来事の意味を知ることが出来ず、 数ヶ月のあいだ苦悶の日々を送っていた。
もし、似たような体験をし、その意味について苦しんでいる方がいるならば、 解決のひとつのヒントになればと思いここに記す。
あなたがこれを読んでいる今この時、それは決して偶然ではないことを僕は知っている。
答えは他者に聞くのではなく、ぜひ自分で答えを導き出して欲しい。

この話は、2011年から令和元年にいたる現在まで続いている不思議な話のごく一部である。
興味深いことではあるが、そこには日本人として生まれてきた意味や生命体としての地球、 魂のシステムについてのヒントが隠されている。
今でも継続しているそれは、おそらく僕が天寿を全うするまで続くのであろう。
そのなかで「龍」との体験はプロローグ的な役割を果たす。
しかし、たった10日間の体験談と言えどあまりにも密度が濃すぎるため、 話は多少編集して簡略化している。
多くの登場人物(実名許可は頂いている)の中には高名な方も複数いらっしゃるので、 自分以外の第三者はあえてイニシャル表記にさせてもらった。

この話は雑誌のエッセイでも連載したことがあるため知っている方もいるかもしれないが、 ここへの書込みでは常識人を装う必要がないため思う存分書き込める。
あなたの代わりに僕が体験したことなので、どうか自分の体験のように感情移入し熟考して欲しい。
2000年前の過去や未来の記憶、時間軸や空間の交差、人の運命や宿命など. . . . 。
オカルトではなくサイエンスで解き明かすヒントも隠されているような気がしてならない。
これをきっかけに、あなた自身の使命について思い出せれば幸いだ。

2012年9月2日 日曜日 僕は早々に仕事を終わらせ、5Fにある池袋の自宅ベランダでタバコをふかしていた。
幾つか会社を経営しているため多忙な日々なのだが、珍しくこの日は19時頃には自宅へ戻っていた。
仕事とプライベートの区切りをつけるため、部屋着に着替えてまずはベランダでタバコをふかす。
ここで、流れ行く雲や星空、池袋の夜景を観たりしながら気分を切り替えるのだ。
日照権に関する東京都の条例のおかげで、目の前180度には視野を妨げる高層ビルはなく、 都会にしては恵まれた開放的な景色が部屋の購入理由だった。
その日は全く雲のない夜であった。
しかたなく池袋の街灯りをボ〜っと眺める。 星が出るにはまだ時間が早い。
そしてタバコの灰を落とそうと目線を変えた瞬間、それはあった。
自宅と1キロ先の高層ビル群との中間地点、 約500mの距離の上空にラグビーボールを縦にしたような形の雲が浮かんでいるのだ。
雲の高度がとても低い。
タバコをくゆらすたった数十秒のあいだ、そんな近距離に妙な形の雲が発生していたのである。
僕はギョっとしたのと同時に、雲の出現シーンを見逃してしまったことを後悔したのだが、 何とびっくり!雲の中からこちらを睨む二つの目が現れた。
そして一瞬にして視野を塞ぐほどの巨大な龍の姿に変化した。
インド人も2度びっくりである。(インド人もびっくり:ヤフー知恵袋参照のこと)
まるでハリウッドのCGを見ているかのような滑らかな変身。
映画「ナルニア国物語」のような違和感のない自然なCG。
目の前に現れたのはあまりにも巨大でリアルすぎる龍であった。
真っ白なタテガミをなびかせ、その巨体をゆっくりと僕に見せつける。
しかも、おっかないことに、僕に対して視線を外すことなく物凄く怒っている。
「もののけ姫」に出てくる山犬のような怒りだ。

たぶん生命の危機を感じたのであろう。
そのとき僕の脳はターボブーストのようにフル回転した。
自分が知りうる限りの認知学や心理学、さらに物理学や生物学が記憶倉庫から引っぱり出される。
僕の頭の中では様々なフローチャートが複数同時に浮かびは消えを繰り返した。 脳はコンマ数秒のあいだに今起こっていることの答えを見つけ出そうと、 必死に並列思考し模索しているのだ。
僕の中のコンマ数秒はギュィ〜〜〜ンと何倍にも伸びる。
時間が伸び、空間が変わった。 脳がはじき出した結論はこうだ。
「今、目の前で俺を威圧している龍の動きはとてもリアルなものだが、 そのレアイウトはよく屏風絵に描かれている典型的な龍の姿である。 これは俺が頭の中で思い浮かべる龍のイメージそのものではないか。」
「いくらなんでも、自分を騙すのならレイアウトはもうちょっと工夫せいよ俺の脳」
「よって、この龍は脳が作り出した幻覚である」 と。

にしては、あまりにもリアルな龍の動きに、結構ビビリながらも眺めていたその刹那。
龍はさらにグッと目前に近づいたかと思うと、巨大な腕を伸ばし僕につかみかかってきた。
トンビなどの鷹や鷲に襲われた経験のある方ならご存知だと思うが、 腕と頭をグっと縮め爪を立てつつ目標物に対して急降下してくるアレだ。
幻覚だとは思いつつもリアルすぎる腕と手の造形、怒れる龍の圧倒的な気迫に、 「あぁ、俺はこの龍にさらわれてしまう」 と、観念した。
そして戦闘態勢の龍の手が僕と数メートルの距離に近づいたとき、その左手は虚空を掴む。
と同時にグオォ〜〜〜っと顔を僕の間近まで近づけながら面前で左側へターンし、 一気に2キロほど遠のいたかと思うと上空へと伸び上がり、口を大きく開けて空へ向かって吠えた。 まるで狼のように。
しかし、咆哮(ほうこう)や声は聞こえなかった。
「うわぁ〜〜〜〜〜〜っ!!」 僕はそれが幻覚であることも忘れ、ただただ、その情景を見守ることしかできない。
どうか想像して欲しい。 本当に「うわぁ~~~~~~っ!!」なのだ。
「写真ないの?」と聞かれることがあるが、そんなことを考える余裕のある人は存在しないだろう。
当事者は生死の危機を感じているのだ。

やがて龍は吠える形をしたままスッと雲に変化し、散り散りになって流れ消えた。
いったい何だったのだろうか? 当時50歳になったばかりの僕であったが、これまでにも不可思議な経験は多くある。
おそらく、普通の人よりはいっぱいある。
僕は起こったことや見たものを、その都度自分なりに考え結論を出してきた。 その殆どは一瞬の錯覚や思い込みの部類であろう。(と自分に言い聞かせる) 第三者も関わったり物理現象が伴ったりと、とうてい錯覚とは考えられない件については、 「何だか分からないけれど、未だ解明できない何かがあるのだろう」 といった具合にそれ以上は深く掘り下げない。 それで一件落着である。
若い頃のとある経験から、雑多な魂は近づけぬようシャットアウトし、関わらないようにしている。
そんなものに時間を割かれるわけにはいかない。
もちろん龍の存在など全く信じていなかったし、見てみたいなどとはいっさい思ったことはない。
とはいえ、幻覚や金縛りなどの経験もない自分にとって、予想だにしない大きなスケールの出来事だったので、少し得した気分になりその日は早々に床についた。

2012年9月3日 月曜日 明けて次の日。
昨夜の事は何だったのだろうと考えつつ仕事をしていたとき、 千葉で人気のラーメン店を経営しているA氏が店舗へ遊びに来た。
「あっ!渡りに船!!」 「えっ?何すか?」 親分肌で人望も徳もあるゆえ、多彩な人脈を広く持つA氏だが、 「しょっちゅう龍を見ている女性がいる」 と以前に聞いたことがあるのをチラリと思い出したのだ。
「西東京の保谷(ほうや)に本物の霊能者がいるんですよ」 と。
その時は「へぇ〜〜」っと聞き流していたのだが。

実は龍を見る1年ほど前から、僕の周りでは不思議なシンクロニシティが頻発していた。
誰しも、電話をかけようと思った瞬間に、かけようと思っていた相手から電話がかかってきたとか、 授業中にカレーが食べたいと思っていると晩ご飯がカレーだったりとか、 少なからず何がしかの経験があるのではないだろうか?
そんなとき、普通は「タイミング良いなぁ」ぐらいにしか思わないであろう。
ところがこの期間、ありえないようなシンクロニシティが「露骨」に頻発していたのであった。
最初は気にしないようにしていたのだが、それがあまりにしつこいので、 馴れたというか理由を考えるのが面倒くさいというか、僕は自然と受け入れるようになっていた。
シンクロに「はい、はい」と相づちを打つように。
いい大人になってくると、「龍の幻覚を見た」なんてぇ話を気楽に語れる相手はそうはいない。
まして、半年ほど彼女もいなかった。
とっとと誰かに話して、このフラストレーションを早くスッキリさせたい。
僕にとってA氏の登場は、昨夜の今日というタイミングで、まさに「渡りに船」だったのである。
ま、50歳にもなると、常識人としての仮面をかぶる必要はないことをすでに悟っていたが。 ノーガード戦法だ。
まず自分が裸にならないと、相手は脱いでくれないということである。
自分の心に嘘をつかず正直に生きるということは、他人の前で裸になる大きな勇気が必要だが、 失うリスクなど何もないということを僕は確信している。
だけど、自我を押し通すことと、自分に正直に生きることとは意味が全く違う。
まずは本当の自分が求めていることを、自身の魂に問い続けなければ行き先はわからない。
友達を失うかもしれないが、出会いと別れのタイミングは完璧であり必然だ。 あなたにも、自分の魂を誤摩化してまで人をつなぎ止める理由などはない。
僕はいきなり切り出した。
僕:「丁度よかった!幻覚だと思うんだけど、きのう龍を見たんですよ」
A氏:「えっ? 龍を見たんスか? 色は何色でした?」
瞬時に聞き返してきたA氏。
僕:「白です。あ、でもね幻覚ですよ。幻覚」
A氏:「白ですか〜。日本の龍ですねぇ。 指は何本でした?」
僕:「ゆ、指ですか? 確か〜5本かなぁ?」
A氏:「いやいや、5本指の龍は王家の龍だからそりゃありえないなぁ。3本指でしょう、3本?」
僕:「いや3本じゃないのは確実です。僕は捕まえられそうになったんで」
A氏:「ん〜〜、それじゃ〜4本指かぁ。すんげぇ位の高い白龍さんっすね、それ。 たぶん日本の龍の頂点に立つような白龍さんじゃないですかねぇ」
僕:「はぁ。(このA氏、やけに龍に詳しい) ところで別件で頼みがあるんですが、いつか時間あるとき自宅に寄ってもらえませんか?」
A氏:「あ、今夜でもいいっスよ。それじゃいったん千葉に戻ってから向かいますよ」
ということで、僕はその日も早々に仕事を終わらせ、自宅でA氏を待つことになった。
さて、散らかってる部屋をサっと片し、掃除機をかけ終わるとベランダに出てタバコをふかす。
今夜は昨夜と違い、空いっぱいに分厚い雲が何層にもかかっている。
「な、コジつけて見りゃどの雲も龍に見えるじゃねぇか」 心の中でつぶやいていた。
と、その刹那。
真っ正面の分厚い雲を突き破り、昨晩と同じ超巨大な白龍が飛び出してきた。 「ひえぇぇ〜〜お助け〜〜」 龍はまたもや僕から目線を外すことなく、首を空までもたげ上空から見下ろしている。
相変わらず、ものすごーく怒っている。
何かを伝えようとしているが、言葉ではないのでよくわからない。
受取ったのかもしれないが、理解ができない。
僕の脳はフルスロットルでターボモードに突入した。
「ふっふっふっ、昨夜のビビリーでぶざまな俺と、今宵の俺とでは全く違う俺なのだ。 二夜連続でビビらそうとしても、そうはイカのキンタマよ。(goo辞書 参照のこと) お前の正体はわかっている。お前は俺の記憶から引っぱり出された幻覚の龍だ」
昨夜とは打って変わって心の余裕が違う。
なにせ仕事中ずっと考えて結論をだしていたのだから。
僕は自分の記憶と想像力による幻覚の出来を確かめるべく、龍の観察モードに入った。
「う、う〜む、墨絵の龍の姿なのに見れば見るほどリアルだ。リアル過ぎる。俺もなかなかヤルもんだ。 あ、そうそう、指の数を勘定しなきゃ」
超巨大な龍が動き出したので、自分の首を振り目線で手を追いかけないと指の勘定もできない。
「ひい、ふう、みい、よ」 左右の指は共に4本であった。
4本指の超巨大な白龍である。
気がつくと、龍はまたしても例の戦闘態勢に入る。
ググーっと巨大な左腕を伸ばし、僕に摑みかかってきた。
龍の手のひらのシワの一本一本がよく見える。
「ひっ、ひえぇぇ〜〜お助け〜〜」
一瞬で僕は昨夜のビビリーな僕へと転落した。
それほどまでに、今夜の龍は昨夜よりパワーがみなぎっているのだ。
龍は再び虚空をつかんだあと上空へと伸び上がり、口を大きく開けて空へ向かって吠えた。
そして、フッと何かが抜けて吠えた形の雲へと戻り、ちりじりになって周りの雲と同化した。
「げっ、幻覚だよ、なぁ?」 ひとしきり考えてはみたものの、やはり理解が出来ない。
龍が怒っていることや、伝えたことは分かっているのだがその意味がわからない。
「我らは既に始めた。 お前達がそれを望み、それを選んだのだから我らは始めた。 さて、いつまでもグズグズしているお前はどうする?」

ピロリロリロリ〜ン!! マンション表玄関の呼び出し音。
どうやらA氏が到着したようだ。
A氏と彼女、KANさんと奥さん(この二人は見える人である)の総勢4名。
気を回したA氏がKANさん夫妻を横浜から連れてきてくれたのだった。
こうなっては当初予定していた別件どころの騒ぎではない。
朝方の4時まであ〜だ、こ〜だと僕らは龍の話をした。
KANさん曰く、 「龍は人間が呼ぼうと思っても呼べるものではなく、形もなければ大きさもない。
龍が山口さんの前にその姿で現れたのには、きっと多くの意味があるのでしょう」
やがて会はお開きになり、僕は彼らに謝辞を述べ帰りを見送った。
それからである。
僕は身体の苦しみを覚え、フローリングの床に突っ伏したのだった。

よもやこれが諏訪、戸隠、高千穂、アリゾナ、沖縄 久高島へと続く、 単なる序章であったことを、その時は知る由もありませんでしたとさ。 つづく

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