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出られない道

私は神社の名の付くものが大嫌いである。
天皇制に直結している、という思想的な背景もあるが、たいていの場合、その周辺にいい気が漂っていることを感じたことがない。
ましてや古くて放置されている神社、祠などは最悪である。
よくもこんなに、と思うほど異形のものがうじゃうじゃ集まっていることも多い。

日本人は意識が薄いから感じないのだろうが、もともと神社は神をまつる、何かを祈願するという場所ではなく、
土地の悪因縁などを封じる狙いで建てられたものが多い。
そこに初もうでだなんだとひょこひょこ出かけていく連中の気が知れないし、
また気軽に手を合わせ参拝する連中もどうかしている。
私が経験した中で、怖いというよりも本当に不愉快になった話を書いてみる。

フリーライターという商売上、地元の道やチリはほぼ知り尽くしていた。
その日の取材も、住所だけ聞けば簡単にたどり着ける場所、
オフィスから車で30分も見ておけば十分の場所だった。
当時はまだナビもない。地図と記憶を頼りに先方へと出向いた。
ところがである。
その取材先の企業の近くまで来たら、まったく道が分からないのである。
まだ携帯も普及しておらず、公衆電話で先方に電話し、場所を確認。
どうやらルートはあっているらしい。
しかし何度走っても、裏道へ入ってみても、まったく近づく気配がない。
何度どうやっても、必ず同じ場所に到達してしまうのだ。

そこは単なる小さな草むらの前。
引き寄せられるように、同じ場所に戻ってしまう。しかも空気が極めて悪い。
晴天なのにその周辺だけ、どす黒い空気が渦巻いている感じ。
絶対これは普通じゃないな、と思い、車を止め草むらの中を覗いてみた。
そしたら案の定、あった。
苔むして、腐りはてたような小さな祠と妙な石が。
そこから何か、黒い霧のようなものが立ち昇り、
だんだんと人の姿に変わっていくのが見えた。
人といっても、まともな姿かたちではない。
頭と体のバランスがおかしなやつが10体近くうろうろしている。
このままいたら必ず襲われる、と思った私は、無理矢理に車を発進させた。

そのうえで取材先に電話を入れ、現状を伝えると、地元の人間らしいその会社の経営者は、電話の向こうで爆笑している。

「あんたもやられたかね。そこは昔、どうやら小さな沼だったらしくてね。
よく子供などが死んだようだ。そこでまだ戦前の話だが、地元の人間が話し合ってそこを埋め立て、小さな祠を立てたようだ。
でも街の真ん中だし、しばらくしたら誰も気にしなく打ち捨てられた場所になってしまった。
それからだよ、時々あんたみたいにその前から出られなくなる車や人が出るようになった。
呼ばれているから、今日はもう帰ったほうがいい。取材は後でいいから」

気が付けば迷ってからすでに2時間が経過していた。
同じ道をひたすら走り続けていたようだ。
こうしたいい加減な祭り方をした神社や祠などは、
人間に決していい影響をもたらさない。
おそらくそこで死んだ者たちも、現世に縛り付けられてしまい、幽霊とも妖怪ともつかぬ、いわば霊界のはくれ者になってしまうのだろう。

後日聞いたところでは、それほど車の通りもない道にかかわらず、
結構な事故多発地点だという。
神社本庁も、政治的に天皇家と密着して甘い汁を吸うことだけを考えるのではなく。
ちっとはこうした社会の害毒を処分することに力を入れるべきではないだろうか。

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