階段落ち

2~3年前、通勤途中で本当に有った話です。
短くて落ちも何も有りませんが、とても不思議でとても怖かった出来事です。
今でも頭から離れません。

朝、私はいつもの様に駅のホームに向かって階段を上がっていました。
ふと、上の方を見上げたその時、
ホームから降りて来たサラリーマン風の男性の身体が
いきなり天井方向に垂直にひょいと持ち上がったのです。

そして、クルっと上下逆転したかと思うと、
頭から真っ逆さまに下に落ちて行きました。 本当に頭から・・・。

コンクリートの床が血に染まり、血だらけになった男性が
生きているのか死んでいるのか解らない状態で横たわっていました。
私は出勤時間が迫っていたので、そこまででその場を後にしましたが、
誰かが駅員さんを呼びに行ったのだけを覚えています。

翌日の新聞に、「酔った男性が階段から転げ落ち、打ち所が悪く死亡」
との記事が載っていました。
しかし、あれは、絶対に酔って転げ落ちたのではありません。
私は、はっきり見たのです。
あれは、絶対、(目には見えなかったけれど)誰かが彼を持ち上げて、
頭から落としたのです。
そうとしか思えない状況でした。
身体がいきなり持ち上がるなんて有り得ないし、
それが逆転して頭から垂直に落ちて行くなんて尚更有り得ません。

あの時、階段には私と彼しかいなかったので、
多分他に見た人はいないと思います。

東京の、名前の知れたサラリーマンの町の駅で有った実体験です。

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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