ついてきた女の子

これは私の友人が中学生の頃の話です。
以下、友人の話です。

私の住んでるところはかなりの田舎で、
外灯もほとんどないような山の奥にあるんだよね。
そこから通ってる中学がすごく遠くて自転車で2時間近くかかるの。
だから、学校からの帰りが遅くなるときは
親が通学路の途中に迎えに来てくれてたんだよね。
それで、部活の大会前に帰りが遅くなった日に、
いつもみたいに親が迎えに来てくれることになったの。

迎えに来てくれるのは通学路の途中だから、
1時間くらいは自転車をこいで集合場所まで帰らないといけないから、
集合場所まで自転車で行ったんだけど、
迎えに来てくれる母親がまだ来てなかったから、
携帯で電話をかけてみたんだよね。
「あ、お母さん。もうついたんだけど」
そこまで言って、母が突然言葉を遮ったの。
「あんた、まだ友達といるの?迎えにいくんだからいつまでも喋ってないでよ」
って、怒りだしたんだよね。
私は訳がわからなくて、でも、理不尽に怒られた気がして
「は?何いってんの、私もう集合場所にいるんだけど」 って、怒り返したの。
そうしたら、
「何いってんの!人が喋ってるの聞こえるよ、さっさと話しきりあげなよ」
そう言って一方的に電話を切られちゃったわけ。

私は、集合場所にこないわ、訳のわからないことをいうわ、
一方的に電話を切られるわで、そのときはただただムカついてたの。
その10分後くらいに、母が集合場所まできたの。
そしたら母は驚いた顔をした後に切羽詰まった顔になって、
「はやく車に乗りな!」
そう言いながら、車から降りて、すばやく私の自転車を車にのせたの。
そして急いで車をだして、
「あんた、何してんの。ついてきてるじゃない」 って、言われたの。
私が訳がわからないっていう顔をしてたら、
「後ろ、見てみな」
ふりかえったら、さっきまで私が母を待っていた集合場所が見えるんだけど、
その場所は、既に私の田舎の地区に入っているから、
山のなかでもう真っ暗なわけ。
で、集合場所はその田舎にある数少ない外灯のある道路の脇になるんだけど、
そのさっきまで私がいた外灯に照らされた場所に
白いワンピースを着た女の子が立ってたの。
そのとき私は、それまでに母が言ってたことが
すべてわかってゾッとしたんだよね。

この話を友人からきいたのは、およそ10年前です。
実は私はこの友人と同じ田舎にすんでいるのですが、
未だに怖くて、その外灯の場所には近づくことができません。

朗読: りっきぃの夜話

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