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代理店事務所

昔、T商事事件というのがあったのをある年齢の方なら思い出すだろう。

巨大な詐欺商法で、書房者が報道陣の前で刺殺されるというショッキングな結末を迎えたことでも有名だ。

その支店があったビルに、取引のあった広告代理店が支所を構えた。
ビルの5回を借り切り常に夜中まで人の出入りも激しいという場所だ。

そこにある新人が配属されてきた。
長身でがっちりしたいかにもスポーツマンタイプ、
だけど何か不思議な雰囲気を持っている。

見れば支店長が、私たちのほうを見てにやにやしてる。
なんだよ、って言えば
「実はね、こいつ凄い霊感もちなんですよ。
隅野さんとかカメラマンのMさんとかと組んだらどうなるか楽しみだねぇ」
などとのんきに笑っている。

まあ初対面、よろしくお願いしますといったとたんに二人とも全身鳥肌。
それを見ていた女の子たちが一斉に悲鳴を上げる。

「見えますか」「いるねえ」が最初の会話。
確かにこの事務所、とんでもない場所だった。

まずエレベーターに乗ると、いつも隅っこに茶色着物を着た上品な老婆がうずくまっている。当然、生きた人間ではない。
かと思えば打ち合わせの最中、窓の外を見たらその新人と私は平然としていtたが、アシスタントの女の子、悲鳴を上げて失神。

そりゃそうだ。
ビルの五階の窓の外を老紳士が何事もなかったようにスタスタ歩いているのだから。こんなことは日常茶飯。

打ち合わせの席に、まったく知らない老人が同席している、なんてこともあった。どうやら私と彼と、霊感の強いカメラマンのM氏の三人がそろうと、出没頻度が急速に高まるようで、さすがの支店長も頭を抱えて、打ち合わせは外でやってくれ、コーヒー代はおごるからとか言い出して、我々大笑い。

やッパり悪徳商法に騙された怨念というのは強いもので、
どうもT商事が入居しているときからいろいろあったようだ。

でも不思議なことに事故物件にはなってないから、
それからもいくつかの会社が入居しては退去を繰り返している。

ただ一度、シャレにならなかったのは3人組で取材に行こうとしたら、どうやっても事務所から出られない。ドアが開かない。

たまたまそこにいあわせた、鬼というあだ名の気の強い姉ちゃんがドアノブに無理やり手をかけた瞬間、見事に部屋の端まで吹っ飛ばされた。

それ以来、忌み嫌われていたその女が出勤してこなくなったのは爽快だったが、ちっとばかり怖かったお話。

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