何が一番怖いって

私の家は家の裏にお墓が元々あって後から建てたんだけれど、
このアパートは私の両親の結構のための住居として
私の祖父が建てたものらしいんだ。
だから、両親は私が生まれる前からそこに居て、
結婚してすぐに私を身ごもったはずだから、
そんなに時間は無かったと思うんだけど、
肝の座った父さんが一番の危機を肌身で感じた話がそのときに起こったんだ。

父さんはそのときに普通にベッドで寝てて、横には母さんも寝てる。
その寝室の奥には、なかば物置と化した大きな部屋があって
ベッドと向かい合うようにして光を入れるための大きな窓があったんだ。
その日も普通に寝てたはずだったんだけど、
ベッドの足下の方から何かが父さんの方に向かって
三歩トン、トン、トンと近づいてきた。
何だ?と思った瞬間にグッ……と相当な力で首を押さえつけられたんだ。

でも父さんはボクシング経験者で結構喧嘩っぱやいから、
上から押さえつけてくる何かに抵抗したんだ。
そうしたら、ハッキリと冷たい何かにひじが当たった。
その瞬間、向かい側の部屋の大きな窓が パーン と大きな音をさせた。
よほど大きな音だったのか、その音で母さんは飛び起きたらしい。

一応確認した窓には当然ヒビの一つも入ってなくて、
それからそういうことはなかったんだけど、
何が一番怖いって、その窓の下にいつものように寝に行く自分が一番怖いです。

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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