黒猫

あれは私が20前半の頃
当時私はコンビニのバイトをしていていつも原付で通勤していました。

その日も原付でバイトに行き帰りに友人と近くのゲーセンに行く約束をしていたので、バイト終わり22時頃そのままゲーセンに行った。

気の合う友人だったためゲーセンが閉まった後も
何気ない話しをして帰る頃にはもう2時を過ぎていた。
友人と別れて原付で家まで帰る途中、
薄暗い山道茂みの奥からバッと黒猫が飛び出して来た。

危ない!と思った時にはもう遅く、
ゴリッという嫌な感触がハンドルに伝わってきた。

私はすぐに原付を脇に止めて黒猫の元に行った。
即死だった。
せめてこの猫をちゃんと埋葬しようと近くの公園の片隅に埋めて手を合わせた。

当時私は家で猫を飼っており、飼い猫にあげる予定だった猫缶が原付の中に入っているのをお思いだし、黒猫のお墓にその猫缶を御供えして家に帰った。

その日の夜変な夢を見た。
回り一面真っ暗闇の中、妙に古臭い木製の外灯が一本立っていてその下に私が立っている。 こんなに暗くて恐い場所に一人でいるのは嫌だったので私はとにかく真っ直ぐ歩いた。

30分ほど歩くと前の方にまた木製の外灯が見えてきた。
その下には、まったく見覚えの無い女の人がしくしく泣いている。

私は『どうしたのですか?』 と話かけるとその女の人は
『猫がいないの』 と言い私に黒猫の写真を見せてくる。

『私でよかったら探すの手伝いますよ』
と言い私は真っ暗闇の中手探りで黒猫を探す1時間ほど探したら目が覚めた。

次の日もいつも通りバイトに行き帰って寝る。
また同じ夢を見た真っ暗闇の中黒猫を探す夢。

次の日もまた同じ夢。
次の日流石に寝るのが怖くなった私は友人に相談してみた。

友人は『それはヤバいんじゃないか?呪いとかかけられてるかもしれないしお祓いに行け』 と言われた。

お祓いとか幽霊とか余り信じてなかった私は何処に行けばお祓いしてくれるとかも解らないからお祓いには行かなかった。

そして怖くて眠れないから1周間位寝ずにすごした。
次の日バイト終わって流石に体力の限界が来て泥のように眠ってしまった。

また同じ夢だ。
ただその日の夢はちょっと長かった。
1時間探しても2時間探しても目が覚めない。
ふと女の人の方を見るとその人の腕の中から黒猫が顔を出している。

しかも今日は女の人は泣いていない。
私は『猫見つかったんですね』 と声を掛けると女の人は
『探して欲しいのはこの猫の体なの!!』
と言いながら腕の中の猫をこっちにつき出してくる。
しかもその猫首から下がない。

私は悲鳴を上げながら飛び起きた。
それ以来その夢は見ていません。
一体あれは何だったのでしょう。

朗読: モリジの怪奇怪談ラジオ
朗読: 思わず..涙。

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