怖い話では無く、あくまで不思議な話なので、お目汚しでしたら申し訳ありません。
実際に私が体験した話です。

20才の頃、実家でクリーニングの取次店をしていた時の話です。
当時の私は、幼稚園の頃から、中学生まで軽いいじめにあっていたためか、
人間不信で家族にも愛想笑いするような人間でした。
その為か、動物が好きで、近所の犬や猫が心を許せる存在だったと思います。
ある日、店番をしていると、初めて見る猫が、入り口の前でお腹を出して日向ぼっこをしていました。
私に気付くと、かすれた声でニャーンと鳴き、スリスリと甘えてきました。
「お前、どこから来たの?」
「絶対飼い猫でしょ。人に馴れすぎ笑」
とか言いつつ、撫でていたのを覚えています。
そんな猫ですから、母も気に入って、いつの間にか店の看板猫になっていました。
ネーミングセンスのない我が家だったので、アメショーの見た目から
「シマ」と呼んでいました。

シマが来て2~3年が過ぎた頃、いつもの通り朝にご飯をあげに行くと、
真っ白な綺麗な猫がいて、シマが居ません。
慌てて、「シマ?シマ?!」と呼び探すと、その綺麗な猫からいつものかすれ声の鳴き声がしました。
「まさかシマなの?」
と恐る恐る近付くと、いつものようにスリスリと甘えてきます。
私の目の錯覚かと思い、家に居た母を呼びシマを見てもらうと、母も
「何であんなに綺麗な猫になってるの?神々しい感じまでするね」
と笑いながら話していたので、私の勘違いでは無いはずです。
その日1日、シマは神々しいまま、一緒に店番をしていましたが、
お客様にはいつも通りに見えていたようでした。

そして、次の日の朝。
シマはいつもの寝床で眠った姿のまま、冷たくなっていました。
今にも起きて来そうな気がして、
私は「シマ、シマ」と呼びながら身体を撫でましたが、シマは起きてきません。
その事実がやっと理解できた頃、涙が止まらなくなりました。
いじめを受けて来て、泣いても誰も気付いてくれない。
親でさえ無視すると解ってから、
「これは痛くない、泣くことじゃない」と自分に言い聞かせて、
いつの間にか親戚が亡くなっても泣けなくなって、
「私って欠陥品だなぁ」と思っていたのに、です。
シマが生きていた頃に、
「あんなに優しくしてくれた叔父さんが亡くなっても、悲しくないの。
泣けないの。どうしてかなぁ。」
とこぼした事はあったのですが、まさか…泣けるようにしてくれたのかな。と思ってしまいます。
だって、その日から、とても涙もろくなってしまったからです。

今まで泣けなかった分を取り戻す様に、ちょっとした映画や、歌で泣けて困るくらい泣いています。

シマの命日は、私の誕生日。
普通に泣けることに感謝しています。
シマ、ありがとう。大好きだよ!

以上、怖くもなんともない話ですが、誰かに聞いてほしかったので投稿致しました。 ありがとうございました。

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