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甘くて、臭い匂い

ボクの元同級生に、警察官になったやつがいる。
そんなに頻繁に会う機会もないのだが、同窓会で久しぶりに会った時、 ちょっと気になる話を聞けた。

彼は家が貧乏だったのだが、とてもまじめな奴で、 東京の大学に通うために
「新聞奨学制度」を利用して、 働きながら学費を稼いで学校へ通う苦学生をやっていた。
夏も冬も朝の5時には起床して、朝刊を配達をしてから学校へ行き、 帰宅すると今度は夕刊の配達。
その後はタオルやチケットなんかの宣材をもって 各家庭を回り、
拡張と呼ばれる営業活動をやって一日を終えるというなかなかハードな学生生活をしていた。
当然友達と合コンなんかする暇もなく、絶対にこの奨学制度は他の人にはお勧めしないと悔いていた。

そんな彼が最も苦労していたのが、配達先からの集金。
他の新聞専売所で働いている友達の話を聞くと、学生にそこまでさせないというのだが、
なぜか彼の務めていたところは学生にもキツイ仕事をさせるところで、
しかも集金が80%集まらなければ 給料ををもらえない仕組みになっていたので、
仕方なく自分の給料を前借りして 未収金のところを自腹で払って80%を達成し、
後からゆっくり未収金のところを個人的に回収するという
超ブラックなことまでさせられていたという。
問題なのは、この未収金がなかなか回収できないということ。
一番やっかいなのは、だまって引っ越しされてしまうことで、 これをやられると、
学生が肩代わりした未収金が回収できなくなってしまう。
これでけっこう泣きをみたらしい。
もちろん回収できるところもある。
ほぼほぼ家にいないので、日曜の朝とか、深夜に集金に行く。
これを「夜討ち朝駆け」と言った。

そんな集金困難な客の中に、たまにとても臭い家があるという。
物が腐ったような匂いとはまたちょっと違う、
吐き気がするような匂いなのだが、甘い香りが混ざっているという。
その甘くて臭い「すえた様な匂い」の中で、人が暮らしているのが信じられなかったそうだが、
彼の話によると200軒に1軒はそんな家があると言うのだ。
実際にはそんな頻度ではないと思うのだが、
彼が言うには、だいたい新聞配達をする自分のエリア内に200軒の顧客がおり、
何年かこの仕事をやっているとエリアの交代をするそうで、
彼は卒業までに4区、2区、3区とエリアを3回変わったものの、
その3回とも、かならず1軒はそのような甘くて臭い匂いをさせている家があるという。
なので200軒に1軒だと説明していた。

紆余曲折あり、お金に困らない公務員を目指した彼は、
後に警察官となり、あるとき殺人現場に臨場することになった。
その時、例の甘くて臭い匂いを現場で嗅いだのだ。
「うっ、この匂いは・・・」と戸惑っていると、先輩警察官が教えてくれた。
「死体の始末に困って、自分の家の床下なんかに穴を掘って埋めるやつがいるんだが、そうするとな、こんな匂いが出るんだよ」
それを聞いて嫌な予感が脳裏をよぎったそうだ。
「じゃあ、もしかして・・・200軒に1軒は、死体を埋めている家があるんじゃないのか?」・・・と。
・・・彼の考えすぎであることを願いたいですね。

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