うしろ向き

暖かくなって来たので、冬場の運動不足を解消せねばと思い立ち、
近くを仕事から帰ってからランニングしていた時のお話です。

その日は夜でもなんとなくもやっと暖かくて、すっかり春といった気候でした。
家から少し離れたところを川を挟んで線路が通っており、
その線路ぞいに街頭と広い歩道があるため、そちらの方へ軽く流していました。

しばらく走って、そろそろ折り返そうかと思っていたところ、
前方におじさんが歩いているのを発見しました。
他の通行人も居なくて、歩道も広いので横を通ろうと思っていたのですが、
思ったよりおじさんに近づきません。
疲れてペースが落ちてるのかな、と呼吸を整えつつ気合いを入れ直して走っていたら、
やっとおじさんの近くに来て、息をヒュッと吸い込みました。
おじさんはニコニコしていて、わたしは会釈をして通りすぎようとしていたのですが、
変なことに気がついてしまったのです。

おじさんの頭、逆向きに着いてる 背中のほうにかおがあって、
進行方向に向けて歩いているからなかなか追い付かなかったんだ
と、突然理解してしまって、怖くて怖くてダッシュで駆け抜けました。

お家へはぐっと遠回りして帰りました。
それから怖くなって夜のジョギングはしていないのですが、
同じようなおじさんを 見たかたはいらっしゃらないでしょうか。

朗読: 【怪談朗読】みちくさ-michikusa-

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