偽者

あれは僕が小学3年生くらいの頃のこと。

その日は当時一番仲の良かったA君と自分の家で遊ぶ約束をしていました。
親は仕事でおらずA君は13時に来ることになってたので9時くらいまで寝ていました。
起きてから一人でテレビを観ているとインターホンが鳴りました。
誰だろうと思いでてみるとA君でした。
まだ起きてから1時間くらいしか経ってなかったので約束の時間よりすごく早かったので、
「どーしたの?」と聞くと家にいても暇だったから早くきたとのことでした。
別に追い返す理由もないので招きいれてプレイステーション2の対戦ゲームで遊んでいました。

そろそろ昼食の時間だなと思っていた時家の電話が鳴りました。
親からかな?と思いでてみると
「もしもし?Aですけど」といつもより低い声のA君からでした。
僕は「えっ?」と聞き返しました。
だって今の今まで遊んでいた相手からの電話だったからです。
A君はそのまま「風邪を引いちゃって今日は遊びに行けなくなった」といいます。
僕は「何言ってんの?今一緒に遊んでたじゃん!」というと
「えっ?俺はずっと家にいたけど」と言うので
そんなはずないと僕はすぐ遊んでいた部屋に戻るとそこには誰もおらず
一緒にしていたゲーム画面がそのままになっておりました。
A君の家は僕の家から20分くらいかかるので物理的にもA君の家から僕の家に電話をかけてくるのは不可能です。

では僕は一体誰と遊んでいたのでしょうか?
姿や声、話の内容はA君そのものでした。
そのためか不思議と怖いという感覚はなかったです。
その後親や友達にその話をしても夢だろうと片付けられるのですが、そのはずはありません。
だってゲームがそのまま残っていたのですから…。

話はそれで終わりではなくその後A君とは10年以上の付き合いで未だに仲良くしているのですが、
その間に3回ほどA君に会ったはずなのにA君に聞くとその時は別の場所にいたということがありました。
A君の偽物は同じように歳をとり僕の前に現れているのです。
当時は怖くなかったそいつですが、ドッペルゲンガーってあるじゃないですか。
あれって自分と同じ姿の人がいて会ってしまうと死ぬっていいますよね?
もしあれがドッペルゲンガーだとするといつかA君と鉢合わせしてしまうかもしれません。
それがすごく怖いです…。

誰か同じ体験をした方はいますでしょうか?
やはりあれはドッペルゲンガーと呼ばれるものなのでしょうか?
この先もA君に何もないことを願います。

朗読: 怪談ロード倶楽部

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