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紫陽花

紫陽花の下から、声が聞こえる…。

いきなりですが、私は雨が嫌いです。
暗くて、気分も沈むし、寒いくて冷たい…理由はいくらでもあるのですが、一番の理由は「紫陽花の花が咲くから」。
紫陽花が嫌いなわけではありません。
むしろ綺麗だし、咲いていれば思わず写真を撮ってしまうほどです。

紫陽花の下から声が聞こえたのは、私が小学校高学年くらいの頃…私はその頃、酷いイジメに遭っていました。
悪口や冷やかし、親友だと思っていた相手からの裏切り、時には殴られることもありました…。
私はある雨の日、泣きながら家に帰る途中で紫陽花が咲いている公園の近くを通りかかりました。
「深央ちゃん…深央ちゃん…」
自分を呼ぶ声が聞こえました。

その声はどこか悲しそうで、私は思わず声が聞こえた方へ歩いていきました。
「深央ちゃん……深央ちゃん……」
声は紫陽花の下から聞こるようでした。

私はその紫陽花が咲いている場所に倒れるようにうずくまり、目を閉じました。

気がつくと私は病院のベッドの上で目を覚ましました。
公園を通りかかった人が見つけてくれたらしく、体に傷や痣があったことから、私はようやく母や学校の先生にイジメに遭っていたことを話すことが出来ました。

数日後、私をイジメていた数人のグループはみんな違う学校に転校していったらしく、会うことはありませんでした。
それ以来、紫陽花の下から声は聞こえなくなりました。

朗読: 朗読やちか
朗読: 繭狐の怖い話部屋

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