中学二年生の頃のことです。
私と幼馴染み3人は演劇部に所属していて、主に週末に活動していました。
私達はその日、文化祭で上演する寸劇の練習で、夕方まで学校に残っていました。
何度も練習や台本読みを繰り返し、活動が終わる頃には外はすっかり暗くなっていました。
私達は手早く片付けをし、部室の掃除をしていると、隣の部屋から
……カリカリ……カリカリ…… と物音が聞こえました。
演劇部の部室は、少し前まで美術部員が部室として使っていた部屋の隣にありました。
直人「今日って美術部、活動してたっけ?」
私「ううん、活動は昨日だったはずだよ」
私達は小声で話しながら、物音を聞いていました。
その音は何かを書いている音にも、何かを削っている音にも聞こえました。
でも、今この時間は私達4人しか居ないはず…。
私は少しだけドアを開けて、隣の部屋の中を見てみました。
髪の長い制服姿の女性が椅子に座って、自分の絵を描いていたのです。
しかもそれだけでは無く、こちらから見えたキャンバスの中の彼女には…両目がありませんでした…。
それからどうやって家に帰ってきたのか分かりません。
次の日、隣の部屋に入ってみましたがいつも通りでした。
一体、あの女性は何者だったのでしょう。 そして、もしあの女性の顔を見てしまっていたら……