この手は誰の?

私が小学校低学年頃に体験した話です。

私の小学校は、当時全校生徒が千人以上通っており、4、5、6年生は新校舎、1、2、3年生は旧校舎にと別れていました。

行き来するには連絡路という通路を使用して移動していました。

通路と行っても、雨避けの天井があるだけで、ほぼ外といっていいほど簡素なものでした。

ある日、先生が授業で使用したプロジェクターを新校舎の職員室に返すのを忘れてしまい、授業中に私と同級生四人で職員室まで運んでほしいと頼まれました。

かなり大きなプロジェクターなので、かなり重たく、五人で端を持ちながら落とさない様に運んでいたのですが、私達はまだ二年生で連絡路に出た際に外に出た開放感もあってか、一人が手を離し私達四人より先に新校舎に向かって走り出しました。

「重いよ、ちゃんと持ってよ」

と私達四人は両手でしっかりプロジェクターを支えながらその子に視線を向けて言っていました。

すると、私の肩をトントンと誰かが叩くのです。

なんだ、みんな遊びたいんだ。 そう思って、私は振り向きました。

するとそこには、私の視界一杯に広げられた手のひらがありました。

手相までわかりそうなほど至近距離にあった為、私は反射的に目を閉じてしまいました。

そのまま顔を叩かれた私は、怒りの感情が芽生え、一緒に運んでいた三人に言いました。

「叩いたのは誰!?」

私が怒鳴った後、新校舎に向かっていった同級生から四人は私に視線を向け、「え?」という驚いた顔をしました。

その時、私は気付いたのです。

私達四人は両手で、しっかりとプロジェクターを支えていたのです。

誰かが手を離したら、その分だけ私の手には重さが加わると。

そんな事は肩、顔を叩かれた際には無かったのです。

そして、時間は授業中。

その時間には連絡路には私達五人以外には誰もいないのです。

僕はゾッとして、急いで職員室に行こうと三人に話して職員室に向かいました。

先に行った一人が先に職員室におり、先生と会話していました。

その先生にプロジェクターを預かってもらい、旧校舎の教室に帰ろうと先生に背を向けた時、先生が「ひ!?」と驚いて私の名前を呼びました。

なんだろう?そう思い、振り向いて先生を見ると、プロジェクターを床において、ものすごい剣幕で私の背中を触りました。

なんだ?なんだ?と疑問に思っていると、先生は「上着を脱ぎなさい!」と言い、私は上着を脱ぎました。

すると、脱いだ上着の背中の部分には、大きな赤い手形がくっきりと残っていたのです。

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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