2年前のお盆に見た夢の話。
「あなたの命と引き換えに、私の妻は亡くなった。 生まれるはずだった娘と息子も居なくなってしまった。
存在ごとなくなってしまった。 代わりに今の私の元には大きな安定した会社が出来ている。 だが、そんなものは要らない。」
彼はとても冷静だった。
彼の思いをつらつらと簡潔に言い放った後、 きちんと説明をしてくれた。
未来でタイムマシンのような物を使い、私が過去を変えてしまったという。
性格適正テストと高度知能テストに合格し、その上、大金をつぎ込むことのできる財力を持った人がタイムマシンの使用応募権利を得て、さらに選ばれた人のみがタイムマシンを一度使える、という事らしい。
そうして私は、母と叔父さんと姪の命を奪った忌まわしい事件を未然に防ぎ、3人の命を長続きさせる事に成功した。
説明を終えた彼は、私の言葉を聞く事も、それ以上何か責め立てたりする事もなくスーッと姿を消した。
という、私の従兄弟目線の夢を見た。
つまり、「私の母、叔父さん、姪」はそれぞれ私自身の叔母さん、父、妹にあたる人だ。
夢から覚めた私は、少し考えさせられるなぁとは思いつつも、夢の事だからそこまで気にはしなかった。
夢だからそのうちすぐに忘れてしまうだろうと思った。
しかし、その夢の事はいつまでも私の心の中に残り続けた。
日に日に、私の心に訴える彼の思いが強くなっていくようだった。
ぼーっとしているといつのまにかその夢の内容を考えてしまっていることが度々あった。
真実だとは思い難いが、私は今でも罪悪感を抱いたまま過ごし続けている。
これから先もずっと、この不思議ではっきりとしない罪悪感を抱き続ける予感がしている。