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親父からの電話

7年まえに親父が死んだ。癌だった。

親父は小さい町工場の社長をしていた。

口数が多い人では無かったので親父と会話をしたのは殆ど記憶が無い。

ただ、会話は無くともなんとなくは考えてる事は判った。

仕事中心の生活で、実際入院する前の日まで工場で作業をしていた。

その年は猛暑で7月の頭だというのに暑い日、もうすぐ昼になる頃だった。

母から携帯にすぐに病院に行くよ!との電話があり、家族全員を車に乗せ病院に向かった。

今では病院に向かう道や病院内部をどの様に向かったのか覚えてない。

親父は急に吐血をし、意識が無くなったそうだ。

治療室に行くと親父は心臓マッサージをされていた。

親父の手を握るともう温かさは感じられなかった。

心音計はマッサージと同じ波長で動いてる。

叔父が5分かからないくらいで到着するとの事で もう無理だと判ってた。

判ってたが、せめて叔父が到着するまで 形だけでも・・・と 主治医に無理を言ってマッサージを続けて貰ってた。

叔父が到着し、主治医に手を止めてもらった。

心音計は静止した。 喪主である私は斎場の手配。

お寺の手配、その他何をやったのか覚えていないが 淡々と準備を始めた。

仮通夜を行い、親戚一同や親父の友人等を出迎え、

葬儀の流れ等の打ち合わせ等 自分は他の事を考える余裕も無く、時間は過ぎていった。

翌朝、自宅兼工場に必要な物を取りに向かった。

なんとなく、自分は事務所に入り、親父がいつも座ってる席に座った。

突然、涙が溢れ出し初めて声を出して泣いた。

どれだけ時間が過ぎたか判らないが、こんな事は初めてで自分でも驚いた。

本通夜を向かえ、来訪者をお見送りし一息ついた頃、最初の異変があった。

自分の娘と息子が「今、おじいちゃん(親父)の声がした!」と言い出した。

自分は全く気が付かなかったが話しを聞くと母親を呼ぶ声がしたそうだ。

親父が母親を呼ぶ時、名前で呼ぶのだが、母親を名前で呼ぶのは当然、親父だけしかいない。

その時は「そうかもしれないね。おじいちゃん喉でも渇いたのかな?」と子供達に話していました。

信じる信じないと言うより、そうであって欲しいと自分も思っていました。

葬儀、火葬と終え、自宅に戻りました。

家族はみんな疲れきっています。

食卓のテーブルに皆座り、お茶を入れて一息ついた時でした。

母の携帯が鳴りました。

母が携帯を見ると驚いています。

携帯に表示されていたのは親父でした。

親父の電話は目の前に置いてあります。

電池は切れモニターは何も表示されていません。

取ろうかどうしようか迷ってると切れてしまいました。

家族は、え?何?なんなんだ? と自体が全く飲み込めません。

しばらくすると 母親の携帯に又、着信があります。

表示を見ると・・・親父です。

今度は出ました。

電話の向こうはザーというノイズ音 それしか聞こえません 私が問いかけても返事はありませんでした。

そして一方的に切れ、ツーツーと音が鳴るだけになりました。

家族が集まるとこの話になったりしますが、

あれは親父からの電話で 何かしら伝えたい事があったんだろうと思う事にしました。

今でも親父は何が言いたかったんだろうと思う事があります。

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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