続きから

小学生の頃、授業中のことだった。

「次は、深央。続きから読んで」

先生に言われて、私は慌てて立ち上がった。

考え事をしていたせいで教科書の内容を聞いていなかった。

どこから読めばいいのか分からない。

困っていると、後ろから誰かが小声で教えてくれた。

「三行目からだよ」

「違うよ、八行目から」

「何言ってんだよ、五行目からだろ」

……って、どこからだよ!

文句を言おうと振り向いたけど、誰もいなかった。

あっ、そうだった。席替えで一番後ろの席になったんだ。

朗読: 怪談朗読 耳の箸休め

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