駅にいた女の子

怖いというより、不思議な実体験です。

今から10数年前の話です。

当時会社員だった私は、先輩社員について営業先へ向かった。

昼前に某市の某駅に着いた。土地勘の全くない初めて降りる駅だった。

午後一のアポだったので、昼飯を食べるために駅ビル内の店でホワイトソース系のパスタを食べた。

先輩に奢ってもらってラッキーと思った。

そしていざ営業先の会社へ行くために先輩と駅のロータリーへ降りると、

前から歩いてくる女の子に、私の目が止まった。

女の子はレースの付いたシャツに、ピンク色のカーディガンという可愛い系の服装だった。

年は10代後半くらいかと思う。

だが、異質な部分が目を引いた。

歩き方がおかしい、カクンカクンとしている。

そして、一番目に入ってきたのは 女の子の顔の皮膚だった。

頬や目の周りの薄い皮膚が部分的に10センチほど垂れ下がっている。

それが数カ所。歩くたびその皮膚がプラプラと揺れていた。

私は、彼女は何か皮膚の病気だろうと思った。

恐怖心はなく、病気に対して気の毒に思いつつ、彼女の健気に歩く姿を目で追った。

同行している先輩も何も言わなかった。見ても何も言わない、いってはいけない雰囲気を察したんだと思った。

周りの人たちも、特に反応はななかった。 女の子は駅の改札方面へと歩いていった。

そしてその後、普通に営業先へ行き帰社。 なんてことははい日常だった。

数年経って、ふとそのことが気になって 「あの女の子の病気は何だったのか?」とネットで検索してみた。

でもこれといった情報は掴めなかった。

さらに数年後。 当時の会社はとうに退職していて、営業とは別の職種についていた私は

同僚にこれこれこんな不思議なことがあった、と時々話していた。

ある日、またその話しを同僚にして、初めて違和感を覚えた。

あの女の子は実在する生きた人だったのだろうか?と。

病気だとしても、あんな皮膚の状態のままで出歩くだろうか? 病院で処置を受けているのが普通ではないか?

あの時、一緒にいた先輩は女の子について一言もふれなかった。

もしかして、私にだけ見えていた女の子ではないのか?とようやく気がついた。

それでも幽霊にしてはあまりにはっきりと存在していたし、すけてもいないし服装もリアルだった。

皮膚と歩き方以外におかしなところはなかったのだから。

当時大人だった私の見間違いかもしれない。

でも直前に食べたパスタや、 先輩から聞いた話も覚えているのだ。

本当に病気だったとしたら、女の子に申し訳ないです。

でもずっと謎なので投稿してみました。

あの体験は一体何だったのでしょうか。

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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