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インターホンの音

怖いので聞いてほしいです。

私は夏休みは家にこもるタイプの学生で、夏はほとんど家に1人でいることになります。

昼頃には道路を挟んで目の前の家に住んでいる祖母がご飯を持ってきてくれ、私は本当に家から出ることがありませんでした。

 

そんな生活を続けていると2日に1回くらいインターホンが鳴ることがあるのですが、

宗教や新聞の勧誘に毎年ウンザリさせられていた私は、今年は居留守を決め込んでいました。

 

今日もお昼前、インターホンが鳴り、「あぁ、またかよ」と思って無視したのですが、今回はしつこく、2回、3回、と何度も押してくるのです。

さすがに頭にきた私は、「一体どんなやつだ」と思い、二階の窓からインタホーンのある位置を覗く事にしました。

 

居留守がバレると面倒なのでそーっと階段をのぼり、窓を覗いて下を見ると、もう誰もいませんでした。

その時にはインターホンの音も鳴り止んでいました。

 

帰ったのだろうと思い、窓から目を離すと同時にまたインターホンが。

私は即座に下を見たのですが誰もいないのです。

 

そうしてる間も食い気味なインターホンはなっていて、しばらく見ていたのですがやっと状況を理解しました。

そもそも家の前の道路は一本道。

最初に覗いた時でもどちらに向かうにせよ、インターホンを押した人は必ず道を歩いているので窓から見えるはずなのです。

 

そこまで考えがまとまると恐怖に震えました。

そう考え始めると、向こうは私が中にいるのを知っているのではないか?とかそもそも

「そんな存在、扉をすり抜けて入って来るんじゃないか」

という考えが頭をぐるぐるして、その間にもインターホンはなり続けて、私は動けずにその場でしゃがんで音が止むのを待ちました。

 

ようやく音が止みましたが、もう窓を覗く気にはなれず、

物音を立てないように1階におり、全てのシャッターとカーテンを閉めました。

 

しばらくたって、一人でいることに不安を感じ、片っ端から友達に通話をかけ、

やっと出てくれた友達のひとりに今しがた起こったことの顛末を話しました。

彼はうちに遊びに来たこともあり「お前ん家、インターホンの前に木あるじゃん、それが当たってたんじゃない?」とのこと。

 

確かにインターホンの前に木があり、風が吹けばボタンに当たることもあるか、と思い、半ば強引にそう思い込むことにしました。

通話を切ってそう経たないうちにまたインターホンが。

 

あんなことがあってすぐ、返事も出来るはずもなく、トイレに入って鍵を閉め、固まっていると、

ガチャリと鍵の開く音がし、祖母の「○○ーねてるのー?」という声が聞こえて、私はほっとしてトイレから出て昼食を受け取りました。

 

私は祖母に少しでも家にいてもらおうと思い、世間話を振ったりお茶を入れたりして、昼食を取りながら祖母と世間話していました。

すると祖母が「あぁ、そういやあんた、まーた居留守しただろう」と半ば呆れ気味に言われました。

 

一瞬「え」と間抜けた返事をしてすぐにさっきの事だと思い当たり、背筋に文字通り悪寒が走りました。

インターホンの音が道路を挟んだ祖母の家まで聞こえてたか?などと考えていると、すぐに

「あのお兄さん同い年くらい?夏だからアルバイトかね、あんたと違って偉い子ね」

と冗談交じりに祖母が言いました。

 

あのインターホンを鳴らしていたのは木の枝じゃなかった。

祖母の家は道路を挟んで向かい合うかたちで立っています。

祖母の家からも2階から窓を覗いたなら私の家のインターホンが見えるのです。

 

その後、祖母は何かを話していたと思いますが、覚えていません。

気づいたら祖母は帰っていました。

 

その後、母が帰ってくるまでずっと好きなアニメを低音量でみながら気を紛らわしていました。

私には見えない、でも祖母からは見えるその人がまだ家の前にいる気がして、外を見るのがとても怖いです。

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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