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ハワイの思い出

初めまして。

私が小学校の頃、夏休みに家族でハワイに行った時のことです。

昼間はレジャーを楽しみ、夜にはホテルに戻りました。

部屋は綺麗で、オーシャンビューを楽しめるベランダ付き。

翌朝も早いということで、その日は22時頃には就寝しました。

 

私は、母の隣りのベッドに寝ていました。

ベッドは壁にぴったりと横付けされており、寝相の悪かった私には、それが安心しました。

 

夜中に、私はふと、目を覚ましました。

枕元の時計を見ると、午前2時頃だったと思います。

当時から怖い話をよく読んでいた私は、「あ〜、オバケの出る時間だ〜」なんて考えていました。

隣りの母もまだ寝ており、すぐに寝ようとしました。

ですが、ベランダから差し込む月明かりや、
暗闇の中で徐々に慣れて来た視界の端に、何かが見えた気がしました。

足元あたりです。 少し頭を上げて、それを見ようとしました。

私の左側に壁があり、足元から左には、玄関へ繋がる短い通路がありました。

その曲り角に、人影がいました。 心臓が縮み上がりそうでした。

兵服姿の男性が、私の足元に立っていたのです。

明らかにその姿は、生気を感じませんでした。

驚きと恐怖で声も出ず、私は母のベッドに潜り込み、
寝惚けた様子の母の「どうしたの〜?」という声にも答えず、
震えながら布団を頭から被って、そのまま眠ってしまいました。

 

翌朝、目を覚ますと、男はいませんでした。

母に、「あんた怖い夢でも見たの?」と聞かれ、その夜見たものを言いましたが、
見間違えだろうと信じてはくれませんでした。

私も、きっと夢を見たのかも、と思うことにしました。

 

ですが、その夏休みが終わり、学校が始まってすぐ、授業で戦争の話になりました。

第二次世界大戦の話です。 日本兵がハワイに出兵した話も聞きました。

私は話を聞きながら、夏休みに見た兵隊を思い出しました。

薄暗くて顔は見えませんでしたが、
あの兵服は、配られた資料と同じ、日本兵のものだったように思います。

そして、すっかり恐怖で忘れていましたが、
彼は私の方を向いていたわけでjはありませんでした。

海が見える、ベランダの方を向いていたのです。

 

これは私の推測なのですが、もしかしたら、彼は日本へ帰りたかったのではないでしょうか。

日本人の私たち家族が来たから、ついて行けば、祖国へ帰れるのではないかと。

 

そう考えると、恐怖心は薄れ、悲しいような、複雑な気持ちになりました。

彼が無事に、母国へ帰れた事を願います。

朗読: 繭狐の怖い話部屋

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