昔っから家族で旅行が好きでした。
特に私は、
その上、見知らぬ場所だろうと一人でどんどん突き進んで行くような猪突猛進な部分もあり、
案の定、あの旅行先でも、私は一人で森に入り、
雑木林へ入っていき、気が付けば、周りに家族も他の人もおらず、
恐らく、森の奥にいたのだと思います。
鳥の鳴き声がギャーギャーと響いていました。
辺りを見渡しても、人も家もありません。
最初はなんて事無く、へっちゃらだと思っていたのですが、
当時は10歳程で、
昼間だったので空元気を保っていましたが、
そうして彷徨って途方に暮れていると、
驚いて振り向くと、数メートル先に、一頭の鹿がいました。
角がなかったので、牝鹿だとおもいます。 牝鹿は、私と目が合うと、
動物好きの私は、寂しさも忘れ、
私としては遊んでいるような感覚でしたが、
その鹿からすれば、
十分程追いかけっこをし、気がつくと、観光客の列が見えました。
そして、森の外が見えました。 戻ってこれたのです。
私は鹿を探しましたが、もうどこにもいませんでした。
その後すぐに家族が現れ、当然、大目玉を食らいました。
警察沙汰になりそうだったのですから、当たり前ですよね。
鹿の話をしましたが、「あの辺りに鹿は住んでいないはず。」
偶然だったのかもしれませんが、あの鹿のお陰で、
今でも、あの鹿には感謝しています。