もう20年以上も前のこと、 私自身が体験した不思議な体験談です。
私は、何処へ行った帰りだったか、
今みたいにナビなんか車に付いてないし、 携帯も誰もまだ持ってない時代でした。
霧の中? 車のフロントガラスに細かな粒が付く。
でも、ワイパーを動かせばゴムが軋む。
降るのか降らないのか、なんだかハッキリしない。
そろそろ日が暮れはじめる時刻だった。
暗くなったらイヤだな… 土地勘のない山道、少しアクセルを踏み込んだ。
と、いきなり道幅が広くなり、大きな道路標識が目に入ってきた。
右折するとK市か… そういえばさっき大きな川を越えたな… 真っすぐ帰ってもつまんない。
K市で遊んでから帰ろう!
そうだ! あの子を突然訪ねてビックリさせてやろう!
私は、直進して家路につくのをやめ、
右手に大きな川を想定しながら右折 斜めに入った道で信号待ち 左手には、
ガラスの引き戸は全開で店の中が見渡せるのに人の気配がない。
畳屋さんの隣は小さな交番。
赤い丸いランプが扉の上にボンヤリと薄く光っている。
こちらも扉を開け放しにしているが、
なんとなく印象的な風景を眺めていたら、信号が変わり、
川に沿って南へと向かえているハズでした。
あれ?また信号?なんで?
オレンジ色の畳屋さんと小さな交番のところに戻ってしまっている
右折したのが間違いだったのかな? じゃあ左折してみようか。
あれ?なんでまたここ?
オレンジ色の畳屋さんと交番の前。
右折か、左折か、どちらかの選択しかないのに、
人に道を尋ねたいのに、人っ子一人通らない。
私はどちらを向いて走っているんだろう?
川さえ見つけられれば方角も分かるのに… 同じ風景ばかりで、川なんてどこにも見当たらない。
本当にここは川沿いだったんだろうか?
そうしているうちに、どんどん日が暮れはじめています。
しかも川の土手を人が歩くのが見えます。
団体のようです。
20人から30人は居るでしょうか、お年寄りも子供もいます。
じっとりとした霧の中を歩いています。
良かった!道を教えてもらおう!
私は車を停めて、その人達の側に行こうとしたのですが…
その人達は、手に手にボンヤリと光る提灯を下げ、
その正気の無さ、忌々しさ、 込み上げてくる吐き気… 突然襲ってきた恐怖に、
車の中で私は取り乱し、
そしてそれを待っていたかのように大粒の雨が降り出し、
少し落ち着きを取り戻した時、
あの行列は何だったんでしょう?
あの人達はやっぱり生きている人では無かったということなんでし