これは私が小学3、4年生の頃の話です。
今の私の実家は私が小学校2年生の頃に新しく建て替えました。
前の家は明治だかそれくらいから建っていた家で、随分古い家だったのを覚えています。
その古い家の頃から大きな黒い蜘蛛が、いつからか家に住み着いていました。
私の祖母はその蜘蛛を神様だと言っていました。
家の建て替えの時に大きな工事をしたにも関わらず、その蜘蛛は新しい家になっても姿を現していました。
しかし嫁に来た私の母はその事を知らず、大きな蜘蛛なので幼い私や私の兄弟に何かしてはいけないと思い、その蜘蛛を殺してしまいました。
祖母は少し渋い顔をしましたが、蜘蛛の種類も分からないため何かあってからでは遅いから仕方がないか、と黙認していました。
その2、3ヶ月後から家の中で不思議なことや良くないことが重なるようになりました。
何が起きていたのか私も詳しく覚えていませんが、確かずっと使っていたものが原因不明で故障したり等、そのようなことが一年ほど続いたと思います。
最終的に私の妹と祖父が少し大きな怪我をしたため、母と祖母は「もしかしたらあの蜘蛛が原因かもしれない」と言っていました。
母がどうしようかと悩み、母の職場の方に相談したそうです。
するとその職場の方は、私の地域ではまあまあ有名だった、隣町の霊能力者のような方のところに行ってみたらいいのではないか? とアドバイスをくれたそうです。
その霊能力者の方は訪れた人に今何が起きていて、これからどうするべきなのかのアドバイスをしてくれるとの噂でした。
母は半信半疑でしたが祖母と相談し、その職場の方と行ってみることにしました。
職場の方が教えてくれた住所で行ってみると、霊能力者の方は隣町の山奥にひっそりと住む中年の男性でした。
母は霊能力者の方に1年ほど前に家を立て替えたこと、住んでいた蜘蛛を殺してしまったこと、この頃良くないことが続いていることを話しました。
するとその霊能力者の方はすっと目を瞑り、暫く黙り込んでしまいました。
五分ほど経ち、霊能力者の方が目を開けてまず話されたのは、殺した蜘蛛は今回の件に関係ないということでした。
では何が良くないのかと母が尋ねると、霊能力者の方は「今あなたのお家の中を見ています」と言いました。
その方には行ったこともない隣町の私の家の中が見れるとのことで、リビングの大きな本棚の上に日本人形がないかと聞かれました。
確かにリビングの大きな本棚の上に、祖母の弟のものであった兜をかぶった人形がありました。
霊能力者の方はその人形が寂しがっている、悲しんでいると話されました。
その人形は、昔の家では家族の目線に飾ってあったのですが、今の家では人形を置く場所がなく、仕方なく大きな本棚の上に置いていました。
しかし本棚が大きすぎて、その人形は家族の視界に全く入っていませんでした。
霊能力者の方は、人形は皆に見てもらって、遊んでもらってこそのものであるのに誰も見てくれない、遊んでくれないから悲しんでいると言われました。
その人形が構ってほしい上に色々起こしている原因の一つだと言われました。
もうひとつ、私の庭に置いてある大きな石のことを指摘されました。
確かに私の家の庭には大きな四角い石があり、昔の家の時から踏み台として使っている石でした。
祖父が適当に川原から取ってきたものだと聞いていました。
その石は、実は誰かの墓石だと言うことでした。
昔のお金が無い人々は立派な墓地を作ることが出来ず、土葬をした上で大きな石をその上に置き、それを墓標や墓石としていたとのことでした。
それを祖父が知らず勝手に家に持って帰ってきてしまい、おまけに踏み台として使っているものですからその霊が怒っているとのことでした。
人形と石、この2つが原因で今の悪いことが起きているのだろうと霊能力者の方は言っていました。
人形は神様の元へ返し、石は清めて元の場所に返すよう言われたので、母は帰ってきてすぐ近所の神社に連絡を取り人形を引き取ってもらうことにしました。
石は私の家が檀家になっているお寺に頼み、家で清めてもらいました。
そしてお上人さんの付き添いの元石を川原へ返し、そこでもお上人さんにその霊ごとお清めをして頂きました。
それからと言うもの私の家に起きていた悪いことはピタリとやみました。
私の母は霊感のある人で、人形は何だか目が合う気がしてあまり見たくないので視野に入れず、石は嫌な感じがするので踏んでいなかったとのことでした。
その事を早く教えてくれという感じですが、家族でその霊能力者の方には感謝しています。