カラオケ

 私が大学生の時の話です。

 私は県外の大学に通っていましたが、ある冬、帰省して地元の友人2人と遊んでいました。
 その日は高校生の頃からよく行っていたカラオケ店に行きました。
 お酒を持ち込んでオールしよう、と22時頃から入店しました。
 そのカラオケ店は地元の若者なら絶対行ったことがあるような場所で、その日も夜中でしたがたくさんの人がいたのを覚えています。
 昼間でも少し薄暗い店内でちょっと気味が悪く、廊下の電気も暗いのでドアもガラスで部屋の明かりをつけると外から丸見えになってしまいます。
 そのため、部屋の電気は付けず、真っ暗な中テレビの明かりだけが付いたような状態でした。

 みんなでお酒を飲んで、歌っていて、そろそろ0時が来る頃だったと思います。
 歌うのもちょっと疲れてきて、休憩てがら3人でだべっていた時です。
 私は3人の真ん中に座っていたのですが、私と左隣の友人のあいだで急に、「ダダダダダ」と誰かが足踏み? をしたのです。
 もちろんそこには誰もいません。
 しかし地面も少し揺れて、かなり大きな足音もして、確実にそこで誰かが足踏みをしたことは間違いありませんでした。
 私と友人らは気味が悪くなって、気を紛らわせるためにまたカラオケを再開しましたが、やはり気になって早めにカラオケ店から出ました。
 そのままカラオケ店から近い友人の家に泊まったのですが、なんとなくみんなその話はしませんでした。

 そのカラオケ店は、私自身も私の友達も変な体験のあるカラオケ店で、私は高校生の頃そのカラオケ店のトイレで、1人でいたのに勝手に水道の蛇口が捻られる音がして水が出たり、友人は数人でふざけて「通りゃんせ」を歌ったら部屋の四方八方から「ドンドン」という、傘の先でどつくような音がし始めて逃げるように部屋を出た、などという体験がありました。

 随分古いカラオケ店ですから、昔何があったとかそんなことはよく分かりません。
 しかしそこに住む何かがことを起こしていたのか、はたまた戦時中その周辺の土地は大空襲にあった土地で、多くの人が亡くなり遺体が転がっていたとか色々噂があるので、そういう方々かもしれません。
 カラオケ店の周りの会社でも自動ドアが勝手に開くとかそんな話も聞きました。

 私はその後は機会もなくそのカラオケ店には行っていません。
 まだそのカラオケ店は営業しており、私の弟はよく行っていますが何かがあったとかは全然聞きません。
 高校の青春時代を過ごした場所でもありますが、もうあんまり行きたくないです。

朗読: 小麦。の朗読ちゃんねる

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

閉じる