落書き鬼

落書きって皆さん、ご存知ですよね。

壁やら家の塀やらに絵やら字を描くことを言うんですが、これは俺の知り合いが中学生の時の体験談です。

 

それは、俺が中学三年のとき仲が良かったBという奴がいた。

Bは気が弱く臆病だったためいじめられっ子だったが、俺がいるときは苛められることはなく、いつも俺のそばにいた。

まぁ、コバンザメみたいな感じだったな。

んで、苛めてた奴の主犯各のことをAとする。

 

Aは、頭がよくない代わりに体育の成績がかなり良く、皆のヒーロー的な存在になるはずだったのだが、

何かと怒りやすく(俺も怒りやすい)すぐに手を出すため、周りからは疎まれ嫌われていた。

 

Bが苛められていることは皆知っていたが、Aは体格が俺から見て二番目ぐらいによく、止めようものならすぐ殴られる感じだったので、

誰も止められなかったが、Aが居なくなるとBを介護してり手当てしたりするぐらいの気丈さはあった。

 

因みに俺は、Aに喧嘩で負けたことはなく、Aは俺にたいしては反抗はあまりしなかったから、俺がヒーローになってた。

(体育の成績はやつの方が上)

 

で、本題だが、俺がある日風邪をこじらせて1日休んだ。

翌日俺の友達の一人のCが話しかけてきた。

 

C「なぁ、ちょっといいか?」

俺「あ?どした?」

C「Bのことなんだけど」

俺「Aに何かされたのか?」

C「まぁ、でも暴力じゃなくて、違うやつなんだよ」

俺「なに?」

C「落書きだよ」

俺「落書き?」

ああとCが頷く。

 

話によると、昨日俺が休んだことをいい気になりAがBに色々命じたりしてたらしい。

パン買ってこいとか荷物持てとかまぁ、使いパシりだな。

で、AはBに向かって廃駅に落書きしてこいといったらしい。

 

廃駅は、幽霊が出ると噂になってるところで誰も近寄ろうとしないところだった。

そこで、落書きしてこいと言ったらしい。クソ外道め。

 

放課後シメテやると思っていると、Bが近寄ってきた。

俺は、Bに敵とってやると言うとBが言った。

B「今日、A来てないよ」

そういえば、確かに居なかった。

 

授業ベルがなり先生が入ってきたが顔が強ばっていた。

先生「昨日から、A君が家に戻らず行方不明になったみたいです。誰か心当たりある人居ますか?」

と言ってきた。

Aが行方不明?不振に思いBを見たが首をかしげていただけ。

 

その日の放課後Bが、

「Aだけど、俺が描いた落書きを写メとるって言ってあの廃駅に入ったんだよね

それで、チャンスと思ってその場から逃げ出したけど、そのあとになるかもしれないし、俺彼処に行ってみるよ」

と言った。

さすがに心配だから、俺とC、いじめっ子のDの計四人で行くことになった。

 

因みにDは、気が弱いがAの影に隠れてBを苛めてた。

虎の威を借る狐と言うやつだな。

 

廃駅に着くと、戸を開いた。

もちろんだが、誰も居ない。

二階、地下、駅のホームに行っても誰も居ない。

 

皆でバラバラに探していると、Dの「ぎゃああああ」という悲鳴が聞こえた。

一階からだ。

三人で声の方に行ってみるとそこには、大きな落書きが描かれていた。

が、その落書きが完全におかしかった。

 

炎のような絵に中学生くらいの男が悶絶といった表情で苦しんでいる絵だ。

その中学生の絵が、Aに似ていた。

 

気がつくと神社にいた。

見た目ヤンキーの神主が、祈祷をしているところだったが、こちらに気付くと近寄ってきてこう囁いた。

 

神主「因果応報だ。奴を探しても見つからない。

あいつは、俺が地獄より恐ろしい所に連れていったから。Bにヨロシク言っといてくれ。

手土産ありがとさん、暫くは、暇にはならないって」

 

気付くと病院にいた。

後から聞いたが落書きはいつまにか消えていて、肝試ししにきた高校生が倒れている俺達を発見。

救急車を呼んだとのことだった。

 

あれは、夢なのだろうか。

 

一応、夢のことをBに言うと俺の耳元で、「それ、俺のオカンが祀ってる異界から来た鬼」と言っていた。

あれから、数年Aは見つかってない。

朗読: ゲーデルの不完全ラジオ

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