石。
どこでも落ちてる普通の石。
皆さんも見たことあるはずの只の石。
知り合いが中一の時。
河原でトモダチと一緒に水切りやって遊んでたんだ。
水切りって角度によって水の上に跳ねる回数が変わるのは知ってるよね。
俺は、水切りが得意で、そのときは15回跳ねる記録を出していた。友達は9回。
で、だ。
水切りで遊んでたんだけど、友達の足元に変わった石が落ちてたんだ。
なんかじゃがいもに似てるのは覚えてる。
平たくなければ丸みもない。
只の石。
……のはずだったんだが、妙に引き付けられる石だったんだ。
持ってみると重い。
小さい割にはかなり重量がある石だった。
それで、暫く見てたんだけど、すぐ飽きて川に投げ込んだんだよね。
そのままその日は解散。
翌日、夏休みなので学校は休み。
俺も友達も部活やってなかったからそのまま河原で泳ぐことになったんだが、そこでまたあの石が河原に落ちてた。
あれ?昨日川に投げ込んだよなと思い、また川に投げた。
その後、友達と川で泳いで昼頃ぐらいかな、川から上がるとまたあったんだよね。
あの石が。
因みに友達のことはAで。
俺「は?何で?」
A「どした?」
俺「この石。さっき川に投げたんだよな」
A「それ?」
俺「うん」
A「似たやつじゃなくて?」
俺「ちげーよ。重量も大きさも形も肌触りも模様もさっき川に投げ込んだ石だ」
しかも何故か乾いている。
何で、と思ったときに謎の悪寒に襲われてまた石を今度は渦を巻いている所に投げたんだ。
ボチャンと音をたてた。
友達も見ていた。
で、その場を離れようとして、足元見たらさ、あの石が落ちてるんだよね。
気持ち悪い。
そう思ったね。
友達も気味悪がって、「行こうぜ」と促してそのまま帰ったんだ。
そして夜、友達と花火をやってたんだけど、河原に忘れ物してたんだよね。
泳ぐときに使ってた水中眼鏡。
でも、あの石がある河原だからさ友達に着いてきてって言ったら嫌々ながらも了承してくれた。
懐中電灯片手に夜の河原に行くと、やっぱりあの石転がってたんだけど様子がおかしかった。
光ってたんだよね。
しかも妙に浮いててさ。
呆けた顔で見てたらさ、上の方から黒くて平たくて、形が定まってないよく解らない物体が出て来て
石がそれに吸い寄せられるみたいに宙に浮いてその中の吸い込まれていったんだ。
俺達は、呆然。
その不定形な空飛ぶ物体は、向こう側の山の中に消えていったんだ。
UFOかと思ったが、あんな粘土みたいにぐにゃぐにゃ不定形な形を保った空飛ぶ物体は、UFOじゃないと思ったけど結局のところ解らなかった。
あの石は何だったんだろ。
忘れてた水中眼鏡は、昼間のよりも微妙に軽かった記憶がある。
なんか地獄先生ぬ~べ~に出てくるクッリターって奴に似てたな。
と思いながら帰路についた。