羊皮紙に並ぶ血文字は、悪魔の書いた聖書の写本。
猫の瞳が色を失う。
時計の針がカチリと進む。
天空から下がった振り子がゆっくり揺れる。
大きなラッパの音がする。
大きな隊列の足音がする。
平たき人々に喰い殺されたハトの群れの羽根が地面に落ちる。
巨大な帆船に乗った死神の歌声が万里に響く。
今日、終わりがやってきた。
今日、始まりがやってくる。
血まみれの口を拭ってニヤリ。
悪魔は、嘆き笑い魂を飲む。
犬の牙がポキリと折れる。
時計と共に時が止まる。
天空へと炎が竜巻と成りて激しく登る。
小さな泣き声がずっと続く。
小さな幸福が砕けて消える。
高き巨人は、首がくるくる回ってもげて地面に落ちる。
大河が逆流して生者もろとも源流に戻る。
今日、終わりがやってきた。
今日、始まりがやってくる。
今日、終わりがやってきた。
今日、始まりがやってくる。
グリモワールのページが燃える。
陣の結界は、意味を持たない。
今日の私を誰も見ていない。
今日は、みんな死んでしまった。