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カラオケボックス

すきま… 気になっても… けっして、手を挿し入れては、いけない。

何もない場所に、何かあるかも…、 そう思った瞬間、 それは、存在し始める…。

前回お話したホテルでの事件以来、
彼女は他の人には見えないモノが、見えると言い出しました。

通学途中にある踏み切りで、何度も、何度も、通過する列車に飛び込む男性。

遊びに行った地下街で、人混みの中を、人の流れとは逆方向へ進む男性とすれ違いざま… 『おまえ、俺が見えるのか?』 と声を掛けられ、
振り返ると、その男性は笑いながら消えていったという。

そうです…! 彼女は不必要な能力が覚醒してしまったようです…。

要らぬ能力…霊感。

彼女は当時、両親との折り合いが悪く、あまり家に居たがらない子でした。

私と知り合い、彼女は私と常に行動を共にしていましたが、
私が夜のバイト中に居場所がない、という理由から、
学校帰りにバイトを始めたようです。

何故それほどまで、家が嫌いなのかは、この時まだ知りませんでしたが、
フラフラされるより、バイトでもしてくれていた方が、
私も安心でしたので賛成しました。

彼女の通っている学校は、いわゆるお嬢様学校で、
校則でバイトが禁止されてい為、学校付近や自宅付近は極力避けて、
私のバイト先近くの繁華街で、カラオケボックスでバイトを始めました。

当初、始めたばかりで疲れたのか、バイトが終わり帰宅すると、
直ぐに寝てしまってたようで、翌日昼間に学校から、
ごめんねメールが来るようになりました。

高校生でしたので、金銭的にそうそうホテルへ泊まる訳にはいかないし、
前回の事件の事もあり、お互いラブホは敬遠していた為、
逢える頻度が下がってきていました。

そんな感じで二週間ほど、メールや電話だけの関係でしたが、
なんとか二人仲良くやっていました。

そんな中、久しぶりに休みを合わせて、逢うことになり…、
学校帰りに約束のファミレスへ向かうと、まだ彼女は到着していなかったみたいで、
先にドリンクバーだけ注文し、彼女を待つ事にしました。

約束の時間から15分程遅れて、やって来た彼女を叱ろうと、
彼女の顔を見て私は息を飲みました。

私が何か言うより先に彼女は、照れ笑いしながら右の頬を撫でつつ…、
私に説明してくれました。

最近肌荒れが酷く、ニキビが出来たようで、
それを潰したところ、その部分から肌が、爛れてきたそうだ。

それを隠す為に、慣れない化粧をしていたら、
遅れてしまったと…、謝ってくれた…。

私は遅れた事など気にしていないと告げ、
大丈夫なのか? 病院には通ってるのか? とあれこれ心配してました…。

彼女は普段から色白で化粧をせずとも、白く透き通るような肌をしていましたが、
右の頬は痣でも出来たかのように、化粧の上からでも判るぐらい、肌が変色していた…。

私は、なるべく視線をそちらへ向けない様に、気をつけながら、
普段通りを意識しつつ、彼女と会話していた。

ファミレスを出て、映画を見に行き…夕方食事をして… やはりというか、
お互い離れがたくなり…久しぶりにホテルへ泊まる事になった。

お互いに 友人の家に泊まると家族に報告を入れて…
今日の寝床を捜しに ホテル街をブラついた。

以前の事件とは、別のホテル街だったがやはり平日の夜には、
いかにも的な二人連れをよく眼にした。

ホテルへ入る前にコンビニで、飲み物とお菓子を買い、ホテルに入った。

久しぶりに逢った事もあり、お互い感情が高まり何度も何度も愛し合った。

シャワーを浴び 心地よい眠りについた二人だったが…、
夜半過ぎ彼女の様子が 急変した…。

『あ………い。』 『あ…つ…い!』 『熱い!熱い!熱い!!  熱い!!熱い!!!』

顔を掻きむしりながら、悶え苦しんでいる…。

私はベッドから跳び起き彼女を揺り起こそうと試みたが、
一向に起きる様子がなく悶え苦しんでいる。

こうして夜中に顔を掻きむしり続けた結果、
あの様な痣になってしまった事が、容易に想像出来た。

なんとか起こしてあげなくてはと思い、
風呂場に行き備え付けの洗面器に水を張り、
ベッドで苦しむ彼女の顔へ思いっきり水をかけた…。

そうすると、先程まで苦しんでいた彼女の顔が、見間違いだと思うのですが、
一瞬別の女性の顔に見え、落ち着きを取り戻したかのように、静かになりました。

私は、濡れているのにもかかわらず、静かに寝息を立て始めた彼女を起こし、
訳を聞き出しました。 先程眼にした光景を彼女に話し、
何故そのような事が起きているのか、思い当たる事はないか?と彼女に聞いてみると…、
実は…と、 彼女が話してくれた内容は…、
いまバイトをしているカラオケボックスでの事でした。

バイトを始めて一週間ぐらいたった頃、一人の男性から店に電話が入ったそうです。

内容はありがちな忘れ物の問い合わせでした。

男性はライターを忘れてしまったという事で、彼女は先輩店員に、
忘れ物が届いていないか確認したところ、
その時は忘れ物の届けはひとつもありませんでした。

彼女は男性に、現在忘れ物の届けが無い旨を伝え、いつ頃の来店かと、
部屋番号を聞き出して、
『探してみて見付かりましたら、こちらから連絡致します。』
と男性の連絡先を聞いて電話を切ったそうです。

先程の男性が言った部屋は利用中だった為、後から確認するようにと、
店長から指示されたそうです。

バイト終わりにちょうど部屋が空いたので、
忘れ物を確認しようと11号室へ向かう時、
店長から片付けの人と二人で行く様に指示されたらしく。

11号室を二人で片付けしながら、ライターを捜している途中、
同僚がフロントに呼ばれ、彼女は部屋で一人残り、捜し物を続行していました。

あれこれ捜していると、ソファーが気になり、
座面と背もたれの隙間に手を入れて探ると、中から定期入れが出てきたそうです。

定期は関係ないので、テーブルに一旦置いて、引き続きソファーの隙間を捜していると、ライターが見付かった。

お目当ての捜し物が見つかり、彼女は部屋を出ようと扉に手を掛けたとき…。

部屋の照明と有線が切れて、どれだけ押しても扉が開かなくなり、
混線したのか…女性の声がスピーカーから流れてきた…
『おいていかないで…』 と聞き取れたそうです。

彼女は半泣きになり、テーブルに突っ伏していると、
フロントへ行っていた同僚が戻って来て、部屋に入ってきた瞬間、
照明も有線も元に戻り、先程の事を同僚に話すと笑われてしまったと…。

その後、テーブルへ手をついていた指先に、先程の定期入れが触れたので、
ライターと一緒に持って部屋を出る時に…今度は…、
『あ り が と う』 と先程の女性の声で聞こえたそうです。

一緒に居た同僚も「混線かな?」と言っていたというので、
実際に聞こえていた事に間違いはないみたいでした。

その夜から、毎夜、毎夜 火事で煙りにまかれ
苦しむ夢を見るようになったと話してくれました。

私は、その話を聞いていて明らかに、その定期入れに何かあると直感し、
部屋へは二人で向かう様にと、指示した店長が何か知っていると思った。

彼女に忘れ物の話を聞くと、ライターは持ち主に連絡し、
翌日取りに来た男性へ返却したそうだが、定期入れは中を確認すると、
期限が一年近くも前に切れたものだった為に、フロントのカウンターに、
そのままにして置いてあるという。

彼女のバイト先の店長は、私のバイト先であるBARの常連でもある事から、
明日詳しく話を聞き出す事にし、その夜は二人抱き合って眠りにつきました。

翌日、私は彼女の事が心配だったので、店長に連絡を入れて、
彼女のバイト先で話を聞く事になりました。

ここの店長、当時私より5つも年上でしたが、気さくな性格で年下の私とも、
対等に接してくれるような方でした。

店長から話を聞いたところによると、11号室のソファーは、
実は別の店舗から持ってきた物らしく、持ってきた先の店舗は一年程前に、
火災事故を起こして閉店したとの事…。

その時の火災で煙りにまかれ、死亡者を出していた事が判った…。

店長は事件の話とは別に、他言無用の条件のもと、こんな話を聞かせてくれた…。

ソファーが11号室に搬入されて以降、
一人で入室したお客さんや、一人で片付けに行かせた従業員などから、
女性の霊が出る、女性の声が聞こえるなどの苦情が入る様になり、
団体客しか入れず片付けも一人では、行かせないようにしているという…。

店長から詳しく話を聞いたあと、バイトとして働いてるのが彼女である事と、
現在の状況と定期入れの話をした…。

店長(坂元)さんは以外にも、すんなり霊体験の話を信じてくれ、
定期入れを確認して、当時火災事故を担当した刑事さんを通じて、
持ち主の遺族へ渡るよう手配してくれた…。

後で聞いた話によると、予感は的中していて定期入れにあった名前と、
火災で死亡した人との名前が一致し、家族から御礼があったという。

この後、不思議と彼女の顔から痣が消え、悪夢も見なくなったと……。

このカラオケボックス11号室ではこの後怪異は報告されていません…。

皆さんもカラオケで座ったソファーの後ろに手を入れると…
そこには何かが・・・あるかもしれませんよ。

霊感は幼い頃から既に持っている人と ある事をきっかけに覚醒する人がいる。

前者は昔から持っている能力の為、ある程度の対処方法を心得ている。

しかし後者は突然の覚醒に対処し切れずに
自分がおかしくなったのかとパニックを起こす
霊は自分の思いをどうにか伝える為に
霊感のある認識してくれる人に擦り寄り思いを遂げる

あなたはこれでも霊感が欲しいですか? すきまに潜む闇を覗いてみたいですか?

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