目が覚めた。
記憶がはっきりしなかったが、徐々に思い出せてきた。
最後の記憶は、
俺は、壊れた車の中で何時間眠っていたのだろうか? ふと、不思議な事に気が付く。
車は、事故をしたばかりという風情でもなく、
俺は、シートベルトを外して、
上を見る。 落ちた道路までは、崖で30メートルはありそうだった。
自力で登るのは無理そうだと判断して、俺は、
おかしい。 今日は、きちんと今朝まで充電していたし、
太陽も真上付近だから、
事故った時に壊れたかなと俺は思ったが、
やけに眩暈もするので、早く病院に行きたいと思いながらも、
何故か頭もボーっとする。 ふと下の方を見ると川が見えた。
俺は、川伝いに下流に出る事にして歩き出した。
体調が思わしくないが、異常に腹が減っていた。
こんなところで倒れたら誰も助けには来てくれないだろう。
俺は、不安を感じながらも歩き続けた。
やっと人里まで下りれらた頃には、陽がかなり西に傾いていた。
熱があるのかもしれない。頭がとにかくボーっとする。
「大丈夫ですか?」
川岸にいた男が声をかけてくれた。
俺は、救急車を呼んでもらおうとしたが声が出ない……
う~う~と、唸るような声しか出せない。
川岸にいた男が、俺の異変に気が付いて、あわてて近づいて来た。
「どうしました? 大丈夫ですか?」
その男が美味そうに見える。食べたい。とにかく腹が空いた。
そう思った時、俺は震撼した。
俺は、何を考えているんだ? 人を喰うだと?
そして、俺は、はっとした。
気が付きたくはなかった。
俺は、車の中で目が覚めてからずっと、息をしていた記憶がない…