今から、20年位前の話になります。
私は、交通事故にあったそうです。
あったそうですと言うのは、その時の記憶がなく、
最初の頃は、打撲と足の骨折の痛みと発熱で、
うんうんと唸って寝ていましたが、
両親が暮らす故郷も遠く一人暮らしで人つきあいも苦手な私には、
少年も、
その事を少年に聞いてみるも、そこは聞かれたくないのか、
気が付けば、ある夜には、
照れながら話して
事故にあう前の私は、健康そのもので病院には縁がなく、
その病院も知らない場所でしたが、
話したりもしていました。
入院は、初めてでしたが、その日々は、
とある日の朝、私は、目を覚ますと驚愕してしまいました。
一夜にして病室が廃墟のようになってしまっていたのです。
私のベッドもボロボロで、何年も放置されていたようでした。
少年のいたベッドは、錆びていてマットさえない状態です。
寝ている間に自分は、
私は、折れた足をかばいながらも、壁を伝い1階におりました。
院内は、ぼろぼろで何年も放置されているような廃墟でしたが、
私は、支えのないまま、ふらふらと病院から外に出ました。
まったく意味が分からず、
その時、後ろから声がしたのです。
「退院、おめでとう……」
振り返ると、自分が入院していた2階の病室の窓から、
とても悲しそうな目をして……。