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骨泣き寺

その山は、二束三文でうちの会社が買いました。
結構、街に近いのにとても安かった。
上司曰く、良い買い物が出来たと興奮気味に話をしていました。

うちの会社は、開発会社で、このように土地を買っては、
そこを整地して住宅地として売りに出しています。

その山の元の持ち主は、上司が話を持ちかけに行った時、
まるで厄介者だったと言わんが程に、簡単に山を手放したそうです。

私は、その山の開発の為に測量会社の人たちと、その山に入りました。

山を削って宅地にする場合、土砂をどれだけ運び出すかを計算しなくてはなりません。
ですので、測量をしてもらい、ダンプ何台分の土砂を
運び出す必要があるかを調べてもらうのです

測量に同行して2時間もした位でしょうか?
山の中に朽ちた寺のような廃墟を見つけました。

そこに行くにも獣道もありませんでしたから、何十年も放置されていたのでしょう。
私は、ふとそこから視線を感じた気がしました。

測量会社の人たちも、気味悪がっていましたが、その廃墟は、
調査する直線上にあり、そちらに向かうしかありませんでした。
測量では、20mずつ区切って測ります。

地球が丸いのでそれ以上の距離を飛ばして計ると誤差が出るのだそうです。
つまり、段々と廃墟が見えているのに、
まるでジワジワと惹きつけられるように近づいていかなくてはならないのです。
近づくにつれて、みんな無口になっていきました。

それだけその廃墟はなんとも言えない不気味な雰囲気を持っていました。
やっと寺の廃墟の前まで測量が終わった時、一陣の風が吹いてきました。

その時です。
測量の人たちが次々と倒れて行きました。
まるでみんなぐにゃぐにゃになったように…… 廃墟から声が聞こえました。

「山を壊す者よ、次に見た時は、お前も殺す。皆にも伝えよ」

測量会社の人たちが立ち上がり、身体をぐにゃぐにゃ揺らしながら、
私に近づいてきました。
私は、大声を上げて山を下りました。

身体がぐにゃぐにゃなのに、白目を剝いた測量会社の人たちは、
かなりの速さで私を追ってきます。

あ~あ~と声にもならないような呻きが後ろからどんどん私に近づいてきます。
彼らは、まるで操り人形のような動きでした。
私は、泣きながら失禁までしていました。
捕まると覚悟したところで、私の記憶が途切れています。

気が付くと山の麓の道に呆然と立っていました。
測量会社の人たちも周りに倒れていました。
病院に運ばれた彼らは、皆、不思議な事に、
骨がなくなっておりすでに死亡していたそうです。

検死した医者も首を傾げていたとの事。

それを聞いた上司は、それを信じずに1人でその寺を探しに行きました。
彼は、それ以来行方不明になっています。

後で調べて分かったのですが、郷土資料によると、
その寺は骨泣き寺と呼ばれていたそうです。

何でも昔、その地域では墓を作る習慣がなく、
火葬して骨を大きな穴に捨てていたそうで、
江戸時代初期にその事を知ったある僧が憐れと、
その寺を穴の上に建てたのだそうです。

会社は、その山の開発を諦め、寺を修復して慰霊祭を開きました。
私は、慰霊祭にも参加しませんでした。
また行けば、骨を取られそうでトラウマになってしまっています。

朗読: 怪談朗読と午前二時

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