誰?

高校三年生の秋に起こった話です。

当時の私は、大学受験の真っ只中でした。
某大学の推薦入試を受ける予定があり、
県外での受験だったのでホテルを取ろうとしていました。

すると、友達もその大学の推薦入試を受ける予定だと言うので、
ならば一緒に泊まって受験が終わったらパーッと遊びに行こう!ということになり、
ツインルームを二泊三日で予約しました。

受験当日、試験も無事に終わり、二人で予約していたホテルへ。
そのホテルへいく際、大学からホテルまで距離があるからと
友達の知り合いの方の車に乗せてもらえることになり、
その知り合いの方が色々な話をしてくれたこともあって
退屈することなく無事ホテルに到着しました。
「こんな遠いところまでありがとうございました!」
友達とそうお礼を言い、車のドアを閉めようとした時、その方が

「女の子二人で泊まるから心配だわ。
このホテルがある土地はあまりいいところでは無いから、
夜道は出歩かない方がいい。気をつけてね」

そんな事を言われ、私は内心とても怖くなりましたが、
一方、友達はあまり気にしていないようで知り合いの方が去っていった後
「今日の夜、私は◯◯ちゃんに会いにいくけど、私ちゃんはどうする?」
ときいてきました。

私はビビリなので、先程聞いた言葉が忘れられず
「いや、今日の夜はホテルでゆっくりするから遊んできていいよ」
と断り、ホテルで一人お留守番をすることに。

友達はサッサと身支度を済ませて遊びにいき、
私はというとホテルで一人ポツンとやることも無く、テレビを観ていました。

しばらく経った頃でしょうか。
ガシャン!コンコロコロ・・・
びっくりして体が飛び跳ねるくらい大きな音。
その音はお風呂場からでした。

私は、うがい用のコップでも落ちたんだろうなくらいに思い、
お風呂場へ向かい扉を開けました。

ガラガラ・・・

あれ? あんなに大きな物音がしたのに、何も落ちていないのです。
「変だな」
あの音はなんだったんだろう、と不思議に思いながらテレビの前へ戻ると、
今度は玄関から私の座っているところめがけて
ドンドンドンドン!
と誰かが走ってくる足音が近づいてきました。

「きゃ!」

私は急いでベッドに潜り込み「◯◯ちゃん早く帰ってきて」と、
祈るように友達の帰りを待ちました。
それから数時間後、友達は
「遅くなってごめんね」
とお土産を持ちながら帰ってき、受験の疲れもあって
そのまま自身のベッドへダイブしスヤスヤと眠ってしまいました。
友達も帰ってきたし、これで安心だぁ と一息ついてから寝ようとした時です。

ゴン・・・ゴン・・・ゴン・・・

なんの音だ?
私は耳をすませその音の出所を探しました。
その音は、私たちの寝ているベッドのちょうど枕元の壁からで、
一定のリズムで鳴っているようでした。
私は、先程のこともあったのでその音が気になりろくに寝れず、
次の日に友達にその話をしたのですが、まったく気がつかなかったとのこと。

せっかく県外に来たので、そんなことは忘れてしまおうと
一日中遊び尽くしホテルへ帰宅。
お風呂に入り、さあ寝ようとベッドに入った時でした。

ゴン・・・ゴン・・・ゴン・・・

まただ・・・私はすぐさま友達に
「この音だよ、これこれ!」
と言ったのですが、
「え、何も聞こえないよ」
と言います。

「ほら、この壁から聞こえるでしょ?」
というとその友達は言ったのです。

「ここ角部屋予約したのに、枕元の壁から音なんか聞こえないでしょ」
私はベランダからその音のする方向を見てみたのですが、
確かにとなりに部屋はありませんでした。

では、昨日聞いた音は全てこの部屋の中からだったのか。
私はその日もろくに寝れませんでした。
この部屋にいるのは誰?
それ以来、そのホテルは利用していません。

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